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県連=ロードレースは中止決定=反対が圧倒的多数占める=県人会の役割とは何か=園田会長「辞めるつもりない」

ニッケイ新聞 2012年10月27日付け

 渦中のロードレース、あえなく中止に——。25日にあったブラジル日本都道府県人会連合会(園田昭憲会長)の定例代表者会議で、今年7月に初開催され、17万レ以上の赤字を計上していた『日伯ロードレース』の第2回以降の継続実施が、反対多数で否決された。およそ1時間の議論のほとんどが反対の声で占められ、肯定的な意見は執行部役員側からの1件のみに留まった。これを受けて園田会長は、「県人会の役割とは何か、という原点に立ち返って考え、今後も一生懸命頑張りたい」と締めくくった。

 ロードレース開催の是非に関する議論は前回、うやむやのまま先送りにされていた。注目された今会議では、日本祭りの一環事業として開催し、経費を25万レ、収益を30万レと見積もった予算案が提示された。執行部のあやふやな説明と肯定意見の弱さに、諸会長からは否定的な声が続出した。
 口火を切ったのは押切フラビオ氏(山形)。「先月あった『日本祭の関連とするのにふさわしいだけの意義を持ったイベントなのか』という議論はどうなったのか」と疑問の声を上げた。
 執行部の市川利雄氏(富山)は「日本移民の原点であり、多くの日系商店や施設が立地するリベルダーデをコースの中心とすることで、日系社会の歴史を訪ねる意義が出来る。それだけでも関連イベントとするだけの根拠となる」と反論したが、むしろ反対意見の呼び水となった。
 大西博巳氏(広島)は「文化の紹介をするわけでもなく、大きなお金が入るわけでもない。県人会の役に立つことをするのが県連の役割。市川さん言っていることは、はっきり言って何の関係もない」とばっさり。大幅な損失を出したにも関わらず、具体的な補填案や役員の入れ替えなどの対策を講じない執行部に対しても、「普通の企業であれば裁判沙汰になってもおかしくない。現実的に考えてスポンサーが集まるとも思えない」と苦言を呈した。
 谷広海氏(宮崎)も「身の程を弁えた事業規模とは思えない」、矢野敬崇氏(大分)は組織のあり方を衣類の繊維に喩え、「縦の糸(母県、日本とのつながり)と横の糸(県人会同士のつながり)を強めるイベントこそ価値がある。どちらにも該当しないことをやる必要はない」と難色を示した。
 挙手により取られた決では、賛成票0の圧倒的反対多数で否決された。園田会長は「原点に立ち返って考え、役員一同頑張っていく」と話すとともに、「事業の失敗の責任は私にあると感じているが、辞めるつもりは全くない。しっかりと責任を果たす」と続投の意思を明確に示し、議論の幕を閉じた。