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生産性上がらぬブラジル工業=投資の効果も表れず=新興国26カ国の末尾に=中国経済の減速化も響く

ニッケイ新聞 2012年11月6日付け

 ジウマ政権2年目の経済成長率は2%台との見方が強いが、ブラジル工業界の11〜12年の成長率は1%で新興26カ国の中で最も低く、種々の投資も回復に繋がっていないと2日付フォーリャ紙が報じた。4日付伯字紙は、中国経済の減速化が進む中、工業の生産性回復に向けたブラジルの課題も山積している。

 1日に地理統計院(IBGE)が9月の工業生産が前月比1%落ち込んだと発表したのと並行して、英国のコンサルタント会社エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)が、11〜12年のブラジル工業は1%の成長に止まりそうだと発表した。
 11年の工業の成長率は1・6%だったが、12年の成長は0・5%と見た結果で、9月の工業生産が8月比1%減というIBGEの発表で、今年の成長見込みがさらに引下げられる可能性もある。2年間の平均成長率1%という数字は、BRICs(中国9・1%や南アフリカ3・1%、インド3%)はおろか、隣国のペルー5・1%やメキシコ3・5%にも水をあけられている。
 9月の工業生産は、工業製品税(IPI)減税のあった分野で8月に駆け込み需要が生じた事などもあって落ち込みが生じたと見られているが、6月0・2%、7月0・4%、8月1・7%と増産が続いた後の1%の落ち込みは政府関係者も予想していなかった。
 9月の工業減産は、国際的な経済危機の影響と企業家の信頼指数の落ち込みなども反映。政府の経済刺激策や工業界の投資が期待した効果を挙げてない事も意味する。
 国内外の動きから見てこの先数年間のブラジルの経済成長は3・5%程度というのは4日付伯字紙の報道で、米国、英国、日本、カナダ、ドイツ、中国、インド、ロシア、韓国、チリ、メキシコの11カ国と比べた場合、ブラジルの生産性は9・4%の中国や6・1%のインドに比べ、極度に低い1・0%(それでも後ろから5番目)。労働者一人当たりの年間生産額は、9万9486米ドルの米国や9万4415米ドルのカナダに比べ、4分の1以下の2万1835米ドル。中国の8325米ドルとインドの4350米ドルが続くのみだ。
 ブラジルの生産性はここ数年上がってきているが、教育の普及などで改善が進む新興国の中では改善速度が遅いのは法的な煩雑さや重税なども影響。陸上トラック輸送が主力のブラジルでは国道などの整備の遅れも輸送経費や期間を拡大させ、高速道路の整備状態が悪いために陸上輸送の経費が28%増えたという報道もあった。
 年10・6%の成長を遂げていた中国経済が、この先10年は7%程度に止まると見られ、中国に変わるコモディティ輸出国になると思われたインドも予想されたほど成長していない。10月の貿易は、石油や鉄鉱石の輸出の減少で17億米ドルの黒字に止まるなど、ブラジルの春は遅いようだ。