ニッケイ新聞 2012年11月6日付け
国家高等試験(ENEM)が3〜4日に行われ、全国で過去最高の410万人が受験した。ここ数年、試験問題の漏洩など問題が続いていた同試験だが、今年は大きな問題は起こらなかった。2〜5日付伯字紙が報じている。
ENEMは元来、高校3年生の習熟度確認のための試験だが、連邦大学の入試や奨学金授与資格を獲るための試験としても用いられる。2013年度の場合、連邦大学の定員全16万5854人のうち、91%にあたる15万774人分はENEMの結果が何らかの形によって合否判定に用いられる見込みで、59の連邦大学のうち34校がENEMの結果で採用を決める。連邦大学入試への重要度が増すにつれ受験者も増加し、今年の応募者は過去最高の579万人に上っている。
ENEMはここ数年、問題が噴出し、その安全性が問われていた。2009年は問題漏洩でキャンセル(日程変更)され、10年には解答用紙の落丁で一部の受験者が再試験となったほか、作文のテーマも事前漏洩。11年には、予備テストの問題が本試験でも出題され、一部受験生の採点から14問をはずすなどの失態が起こった。
こうした注目度の高さの中行なわれた今年のENEMは3日と4日に全国1615の市で行われ、410万人が受験。欠席率はほぼ昨年並(27・6%)の27・9%だった。
ENEMの今年の問題はインターネットで、初日の朝、サンパウロ州カンピーナスから「今年のENEMは行なわれません」という虚偽のツイッターが流れ、一部受験生が騒然となった。また、初日に37人、2日目に28人が受験中にENEMの問題用紙の写真をネット上に掲載し、計65人が失格となった。
その一方、試験内容に関しては、物理に2問ほど回答無効のものがあったことや、作文のテーマが「21世紀の移住について」という意外なもので、平均点の低下が予想されたほかは概ね好評だった。
今回のENEM実施の結果を受け、アロイジオ・メルカダンテ教育相は記者会見で「今年は私たちが事前に計画した通り、ほぼ何の問題もなく試験が行なわれた」と満足げに語った。教育省は今年、テスト問題の保護と作文問題の採点基準の変更を徹底するべく、受験生ひとりあたりで昨年より5・56レアル増しの45・33レアルの費用を投じていた。
また、停電により受験できなかったアクレー州の受験生や、住民のデモで交通が麻痺し会場到着に支障を来たしたバイーア州の受験生などは12月に再テストが行なわれることも発表された。