ニッケイ新聞 2012年11月6日付け
サンパウロ州マンチケイラ山間部の名物小型電車が3日夕方に脱線事故を起こし、妊娠7カ月の妊婦を含む3人が死亡する事故が起こった。5日付伯字紙が報じている。
事故は3日18時20分頃、カンポス・ド・ジョルダン〜ピンダモニャンガバ間を走る、カンポス・ド・ジョルダン鉄道(EFCJ)運営の「アウトモトリスA2号」が、サントアントニオ・ド・ピニャル駅からピンダモニャンガバ駅へと向かう際に起きた。
これまで異常なく運転していたブレーキが下り坂で利かなくなり、電車が加速。機関士が「(電車が)止まらない」と叫ぶ中、同車はカーブを曲がりきれずに脱線し、電信柱にぶつかり、左側に横転して止まった。
この衝撃で、マルリ・ギド・ペレイラ・フロエリッチさん(65)と添乗員のソニア・マリア・デ・オリヴェイラ・ネーヴェスさん(47)が即死。サンパウロ市在住で妊娠7カ月の妊婦アドリアーナ・デ・アラウージョさん(35)も近くの病院に運ばれたが4日未明に死亡し、胎内の女児も助からなかった。アドリアーナさんの夫(42)、長女(12)、長男(6)、姪(12)も骨折などの重傷を負った。
電車には48人分の座席があり、事故当時、幼児を含む乗客42人と乗務員2人が乗っていた。シートベルトはなく、乗客は立って窓の外の景色を見ていたという。
アウトモトリスA2号は1924年運行開始の歴史のある名物電車で、時速は30kmだが、事故の際は時速80〜90kmまで上がっていた。
EFCJは2年後に創業100周年を迎えることから、サンパウロ州は昨年から1400万レアルの支援投資も行なっていたが、事故の後、30日間の運行停止を命じた。