ニッケイ新聞 2012年11月6日付け
聖南西のレジストロ文協(金子国栄会長、約280会員)主催の「第58回レジストロ灯籠流し」が1、2日の両日、市内を流れるリベイラ川沿いのプラッサ・ベイラ・リオで開催された。州内外からの多くのバスが会場を訪れ、近隣などからも過去最多の1万5千人が来場するなどの賑わいをみせた。「死者の日」(フィナードス)にあたる2日は終日曇り空で時々小雨に見舞われたが、2500基の灯籠が彩り鮮やかに川面を染める頃、雨はやんでいた。夜が深まるにつれリベイラ涼風太鼓、民謡大和会などによる余興、盆踊りで盛り上がり、会場は訪れた観客らで埋め尽くされた。
レジストロ灯篭流しは1955年、リベイラ川での水難犠牲者の霊を供養するため7基の灯籠を流したことが発端となり、現在まで続いている。同地文協、市、ブラジル日蓮宗、レジストロ・ベースボールクラブが共催で、地域の一般ブラジル人も多数動員する同市最大のイベントの一つとして定着した。
広場ではヴァーレ・ド・リベイラ日系団体連合会(FENIVAR)やレジストロ文協、日語学校などが協力してヤキソバなどの日本食を販売。絶えることなく人が集まる盛況ぶりで、名物のマンジューバの刺身も午後8時頃には売り切れる人気だった。
午後7時頃から「世界平和祈願並びに先没者慰霊」の法要が、日蓮宗、カトリック教会、西本願寺、生長の家、立正佼成会、大本教の合同で川岸の水難犠牲者追悼碑前で執り行われた。福嶌教輝在聖総領事、安部順二下議、サンドラ・ケネディ市長、近隣の文協代表や一般市民など約400人が焼香した。
法要の最中からリベイラ川の清め式が始まり、鯉のぼりと色とりどりのすだれで飾られた船が川を上下し、太鼓を鳴らして祭りの開催を告げた。午後7時半頃から追悼碑のある前を灯籠が流れ始め、夕闇が迫る中、無数のほのかな光が川面を彩り、岸辺まで降りて魅了される人が続々と現れた。
午後10時頃からは花火が打ち上げられ、盆踊りでは総領事や市長もまざって炭坑節を踊り、午後11時半頃まで盛り上がった。イベントの実行委員長も務めた金子会長は、「地元以外でも注目を集めてきている。初めて来た人はこんなに大規模だと思わなかったって喜んでいました」と嬉しそうに話した。
灯籠流しに先立ち奉納相撲として2日午前中から午後にかけ、敷地内の土俵で相撲大会が行われた。オザスコ、サントアマーロ、イタペチニンガ、イビウーナなどから総勢約60人の力士たちが集い、地元レジストロの子供たちが数多く集まって大声援を上げる中、男女別、年齢別に分かれ白熱した試合が繰り広げられた。
同地での相撲大会出場は3回目という山口潔士くん(12)、直毅くん(10)兄弟は柔道の稽古も受けており、ほとんどが非日系の選手の中で揃って優勝。母の弥生さん(38、二世)は、「家族で一緒に来られるので、いつも出るのを楽しみにしています」と笑顔を見せた。