ニッケイ新聞 2012年11月13日付け
パラー州アウタミラで法定アマゾンの土地合法化政策を逆手にとった違法伐採が行われていると10、11日付エスタード紙が報じた。植生保護のための国定区域(フローナ)やその周辺を破壊する人々の存在は、非政府団体(NGO)のグリーンピースが検察庁に告発している。
法定アマゾン内の国有地に住み、家族で農業生産を行っている人々を助けるための土地登録制度〃テーラ・レガル〃が始まったのは2009年。違法伐採の拡大を防ぎ、小規模農家を保護するための同制度が、私利私欲に駆られた人々に悪用され、違法伐採拡大の傾向さえあるという。
エスタード紙記者がグリーンピースの単発機に便乗してアマゾン上空を飛んだのは10月下旬。上空からは、国立宇宙調査研究院(Inpe)の衛星写真にも表れた3千ヘクタールという大規模な違法伐採地や、衛星写真では捉えられてなかった1千ヘクタール以下の違法伐採地も観察されており、詳細な資料が今週中に検察庁に提出される運びとなっている。
単発機による視察が行われたのはジャマンシンとアウタミラと呼ばれる二つのフローナでの違法伐採で、1〜10月の違法伐採面積は、ジャマンシンで5069ヘクタール、アウタミラで2222ヘクタール。アウタミラは昨年同期の2465ヘクタールより少し減ったが、ジャマンシンは昨年同期の972ヘクタールの5倍超だ。
環境省の国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)が8月末に発見した300ヘクタールの違法伐採地はアウタミラのフローナのすぐ外側にあり、テーラ・レガルで土地の合法化を行った地主が、12人ほどの人を使い、登録した土地以外の場所の木を切り出させていたという。
労働者達は前時代的な環境で奴隷労働を強いられていたが、問題の地主は登録以前にも違法伐採で摘発されており、昨11年9月にも登録した土地での違法伐採で再摘発を受けている。今回は所有地以外の場所での違法伐採摘発だが、近辺では三つの農場に囲まれた地域で複数の違法伐採地が見つかっている。
テーラ・レガルで土地を合法化した地主は230人で、1千ヘクタール以上の土地所有者は30人。パラー州農業従事者組合には同制度を利用して土地を合法化した人はなく、ライムンド・デ・リーマ・メスキッタ氏は「この制度は小規模農家のためではなく、大規模な土地所有者のために使われている」という。
グリーンピースのマルシオ・アストゥリン氏は「この発言は政府が地元農家と連動して行動してない証拠」とし、テーラ・レガルで土地を合法化した地主による違法伐採の実態調査を要請する書類を8日に検察庁アウタミラ支部に提出した。
水源や川周辺、丘陵地などの伐採禁止区域や保護区域の再植林、違法伐採者の土地没収などで森を守らないと、他地域も含んだ干ばつなど、異常気象も起き易くなる。