若い人にも脳血管障害=10年間で6万人が死亡=生活習慣の見直しが必要か
ニッケイ新聞 2012年11月14日付け
ブラジルで死亡率の高い病気のトップを行く脳血管障害(AVC)が、45歳以下の人にも起き易くなっていると11日付エスタード紙が報じた。
保健省の統計によると、2000〜10年のAVCによる死者は6万2270人。2000年から今年9月までにAVCで入院加療した45歳以下の患者の数は、統一医療保健システム(SUS)傘下の病院だけで20万人に達している。
従来は高齢者の病気というイメージがあったAVCが、45歳以下の人6万人以上の命を奪っていたという事実は、若い世代のAVC発生率が高まっているという世界的な傾向と一致する。
AVCの若年発生が世界的な傾向である事は、米国の脳神経学関連雑誌の10月号に、1993〜4年に発生したAVC患者に占める55歳以下の患者の割合は13%だったが、2005年は19%に達したと報告された事からも明らかだ。
AVCは脳の血管の一部が詰まる脳梗塞と脳の血管が切れる脳内出血の2種類があり、致死率は医学の発展と医療サービスの向上で低下しつつある。ブラジルでも今年4月から、AVCの80%を占める脳梗塞の治療薬である血栓溶解薬がSUSでも供給されるようになった。脳梗塞では、発症から4時間半以内に血栓溶解薬を使うと後遺症を軽減する事が出来る。また、地域医療の中核になる病院の制定も少しずつ進んでいる。
高齢者のAVCは、脂質異常(高脂血症)や糖尿病、高血圧、喫煙などによって、血管壁に隆起が出来るアテローム性動脈硬化で血流が悪くなったり、隆起が破れて血栓が出来て血管を塞いだりする場合が大半だ。
これに対し、若い世代のAVCは心臓や動脈の形成異常、麻薬や精神高揚剤の使用、肥満などが引き金となる。心臓の形成異常の例は、ロンドン五輪で活躍した女子ハンドボールのダニエラ・ピエダーデ選手(33)で、同選手は9月末、試合中に強い頭痛が起きて意識を失い、意識が戻った時には、右半身が麻痺して話せない状態になっていた。彼女の場合は心臓壁がきちんと閉じていないために血栓が出来やすくなっていた事が判明し、手術によって原因を取り除く予定だ。
一方、妊娠末期に高血圧を起こしたレナッタ・ヌネス・デ・オリヴェイラさん(28)は、出産翌日にAVCを起こし、25日間集中治療室に入院。車いすで帰宅したレナッタさんがアリセちゃんを抱いたのは、出産から1カ月以上経ってからだった。
近年は若くして肥満や高血圧、糖尿病、ストレス、運動不足といった問題を抱える人が増え、AVC発生の危険度が高くなってきている。生活習慣の見直しと定期健診も含めた予防策が必要だ。