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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年11月15日付け

 県連故郷巡り一行には日本で20年間も就労をした二世女性数人が混じっていた。「年金貰えるまで日本で働こうと考えて、去年帰ってきたばかり。これからはブラジルでゆっくりと暮らせる。こんな旅行に参加しながら楽しく暮らしたいわ」との彼女らの言葉を聞き考え込んだ▼デカセギブームに乗って40歳前後で訪日した世代が、一区切りして帰伯する節目を迎えている。日本を良く知り、日系人同士で旅行することを選ぶ彼女らは、コロニア活性化を期待できる人材だ▼08年暮れ以来10万人もが大量帰伯したが、大半は再訪日を願って半ば腰を浮かした状態で息を潜めている感じだ。その中でも、前述の二世女性のような人材はブラジル国籍の〃第2の戦後移民〃といえないか▼ただし、大量帰伯者の大半は、故郷巡り連載第8回のように地元文協に顔を出さない。もし帰伯者の家長世代が日本に良くないイメージを持っていたとしても、子供世代はきっと自分が生まれ育った日本が好きなはずだ。日本で人格形成したこの世代は〃第2の子供移民〃でもある▼放っておけばブラジル社会に吸収されて、せっかく覚えた日本語を忘れていく。そんな〃第2の子供移民〃たちにコロニアに参加してもらうような働きかけは出来ないだろうか。とくに企業経営者のみなさんは、そんな彼らを雇ってぜひ居場所を作ってほしい▼来年は移民105周年だ。北米では戦中戦後に日本で人格形成した「帰米二世」が戦後の日系社会を支える原動力になったと聞く。10代の〃第2の子供移民〃が日系団体に参加してくれれば、移民150周年の時には60歳前後だ。放っておいていいのだろうか。(深)