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サンパウロ州=参加できるのは良い子だけ=公立校の美術館見学で差別

ニッケイ新聞 2012年11月22日付け

 サンパウロ州の公立学校では美術館や博物館の見学行事の際、見学に行ける生徒とそうでない生徒が振り分けられていると、21日付フォーリャ紙が報じている。
 州立学校では「ルガーレス・デ・アプレンデール」というプログラムがあり、美術館や博物館の見学を行うが、場所の制限があり、一回の見学者の数を生徒40人、教師2人に制限している。40人という数字は1クラスの定員に相当し、プログラム担当者も、クラス全員で見学に行くのを望んでいる。
 だが、14市にある州立校教師数十人に尋ねたところ、学校側が連れていく40人は「クラス全員」ではなく、同学年の複数のクラスから選抜された生徒40人で、成績が良く、行儀が良い生徒が大半を占めるという。
 このプログラムでは本来、学校側が行ける生徒と行けない生徒を選り分けることを禁じている。唯一の例外はクラスの定員が40人に満たない場合で、この場合はクラス以外の生徒を選んで同行させることができる。
 この問題は教育局が派遣するバスが1学年に付き1台であることで生じるのだが、このことをめぐって生徒や親から不満の声が多く漏れている。ある生徒は「〃見学に行ける生徒〃のリストはいつも同じさ」と、見学から除外されつづけていることに不満を漏らしている。「次の見学に選ばれるのを目標に勉強にいそしむ生徒もいる」と選抜を肯定する学校もある一方、「選ばれなかった生徒が傷つき、成績の悪化につながることもある」と語る教師もいる。
 この他にも、クラスの定員が40人を超えていた場合、美術館見学の発表があった日に欠席していた生徒が行けなくなったり、クラス単位での見学を遵守する学校でも、同じクラスばかりを選ぶなどといった問題がおきているという。