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にっけい文芸賞=『花嫁移民』などが受賞=プラドさんに特別顕彰も

ニッケイ新聞 2012年11月22日付け

 ブラジル日本文化福祉協会が実施する「にっけい文芸賞」(浜照夫委員長)の授賞式が17日午後、文協貴賓室で行われ、約150人が慶祝に訪れた。日本語部門では計12作品の中から、佳作『花嫁移民』(滝友梨香)、佳作『わすれなぐさ』(加藤淑子)、佳作『アリアンサ移住地創設八十周年』(アリアンサ日伯文化体育協会)が選ばれた。
 アリアンサ記念誌の編纂委員長、嶋崎正男さんは受賞者を代表して、「大変光栄だ。今ポ語に翻訳して子や孫にも読んでもらえるようにしている。いかに苦労して移住地ができたかが分かってもらえると思う」と喜びを語った。
 審査員を代表してサンパウロ新聞の鈴木雅夫社長が「滝さんの作品は自らの体験を中心に花嫁移民全般を網羅して描いている。この受賞が、女性自らが移住体験を書き残すための取り組みへの刺激になってくれれば」と講評をのべた。
 ポ語部門では、ジャブチ賞も受賞した著名な作家ルシア・ジュンケイラ・デ・アルメイダ・プラドさんの『O Amor e um Passaro Vermelho』『Sob as Asas da Aurora』に対し、特別顕彰が送られた。
 リベイロン・プレットから駆けつけたプラドさんは、「子供の頃に、我が家のファゼンダにたくさん日本移民のコロノがいた。その経験を忘れないよう小説にまとめた。日本移民はブラジルの発展の象徴する存在。次に私が生まれ変わるとすれば、きっと東京だわ」と謝辞をのべた。
 ポ語部門審査員の一人、大原毅さんは「彼女は65冊も著作がある有名な作家。うち2冊が日本移民について書いており、しかもとても好意的な内容。2冊目の本は08年にわざわざ再版したほどの力の入れようだった」と高く評価した。
 また小林ルイス眞登さんの『Perigrinos do Sol』には特別賞が贈られた。ブラジルで初めて剣道場を開いたといわれる小林美登利の孫らしく、日本の剣道の歴史をポ語で紹介した力作だ。「最近日本文化への関心は高まっているが、正しく、詳しい情報が必要と思い出版した」とのべた。
 ポ語部門では40作品から選ばれた詩3編、漫画にも表彰状が贈られた。それに加え、全伯俳句大会の特選16人にもメダルが授与された。その一人、ブラジリア・モデル校で日本語を勉強する日高パウロさんはわざわざ首都から駆けつけ、富重久子さんと受賞を喜んでいた。