ニッケイ新聞 2012年11月27日付け
連邦警察が23日、大統領や連邦総弁護庁(AGU)、連邦会計検査院(TCU)など、連邦政府7機関に絡む汚職事件関係者の逮捕や家宅捜査などを行った。閣僚級の逮捕者は出てないが、ジウマ大統領は24日、連警の捜査対象となった公務員らの解雇、更迭を明らかにしたと24〜26日付伯字紙が報じた。
ブラジリアの大統領府が23日は1日中、ごった返した—。ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法務相やジルベルト・カルヴァーリョ大統領府総務室長、ルイス・イナシオ・アダムスAGU長官らが大統領執務室を何度も出入りしたのだ。
この動きは、AGUのナンバー2と大統領府のサンパウロ市出張所所長、国家水資源庁(ANA)と民間航空監督庁(Anac)の理事ら、18人が告発され、逮捕令状執行や家宅捜査などが行われたのを受けたものだ。
連警が告発したのは、ルーラ前大統領の元右腕で、ルーラ政権下で開設された大統領府出張所のロゼマリー・ノヴォア・デ・ノローニャ所長や、ルイス・イナシオ・アダムスAGU長官の右腕のジョゼ・ウエーベル・オランダ・アウヴェス補佐官らで、ANAのパウロ・ロドリゲス・ヴィエイラ、Anacのルーベンス・ロドリゲス・ヴィエイラ両理事、企業家のマルセロ・ヴィエイラ氏の3兄弟ら5人が逮捕された。ロゼマリー所長宅やAGUのアウヴェス補佐官執務室をはじめ、大統領府、AGU、TCU、国家資産局、教育省、ANA、Anacの捜査も行われた。
連警のポルト・セグーロ作戦は、ANAのパウロ理事を頭とする犯罪グループが公的機関に偽文書を作らせ、国家資産である島に邸宅やヘリポートを造ったジウベルト・ミランダ・バチスタ元上議の個人資産擁護を図った容疑などを摘発するもの。偽文書を作ってくれれば30万レアルを払うと持ちかけられたTCU職員が、文書を作って10万レアルを受け取った時点で後悔し、金を返した上で連警に通報した事で捜査が始まった。
ロゼマリー容疑者は、メンサロン事件で有罪となったジョゼ・ジルセウ被告が労働者党(PT)党首だった頃PTで仕事をしており、ルーラ政権が大統領府出張所を作った時に職員となり、07年に所長に就任。ヴィエイラ兄弟をANAやAnac理事に推薦したのは同容疑者で、それを口実に金をせびったりしている。ジウマ大統領とはそりが合わなかったが、ルーラ氏との関係ゆえに現在まで所長職に残り、権力を振るっていた。
政府組織内に犯罪組織を作り贈収賄などで個人の便宜を図った事は、港湾拡張計画発表前夜の大統領を苛立たせ、即座の解任、更迭となったが、久々の〃ファッシーニャ(清掃)〃で、アダムスAGU長官の最高裁入りや官房長官職就任の可能性消滅など、来年の人事にも影響しそうだ。