ニッケイ新聞 2012年11月28日付け
第3四半期の経済活動はブラジルの景気が回復し始めた事を示しているものの、ナタール(クリスマス)まで1カ月を切っても歳末商戦は本格化せずと27日付エスタード紙が報じた。13カ月給の半分が出揃う30日以降は消費活性化と見る向きもあるが、負債を抱え、その返済を優先する人も増えてきている。
今年の13カ月給は総額1億3千万レアルとされ、その景気刺激効果が期待されるが、負債を抱える人が増え、ナタール前1カ月を切っても小売販売は火がつかない。
11月前半の消費は横ばいというのは、サンパウロ商業協会(ACSP)で、10月の小売販売が昨年同月比6・3%の増加だったのに対し、11月前半の小売販売は昨年同期比0・3%の増加に止まった。
現金販売を見た場合、11月前半は昨年同期比0・3%減で、昨年同月比1・6%を記録した10月と大差が出たが、10月の小売販売と現金販売の伸び率が大きく違う事は、クレジットカードなどによる分割購入が多かった事も意味する。
ACSPの統計を裏付ける発言はショッピングセンター関係者の中からも聞かれ、休日の販売は旅行者の増加もあり、昨年の実績を3〜4%下回ったという。
こうした流れの中で小売業者が望みをかけるのは、13カ月給の半分の支払い期日である30日以降の盛り上がりだが、13カ月給の支払い=消費拡大となるか否かは心もとない。これは、負債を抱えている消費者が増え、90日以上返済が遅れる債務不履行や銀行の貸倒引当金額も拡大傾向にあるためだ。
26日付フォーリャ紙によると、13カ月給は貯蓄や消費に回すよりも負債の返済や解消に当てるべきとの考えは年毎に定着。13カ月給で負債を返済する予定の人は、ここ3年、57%、60%、61%と増えているが、プレゼント購入は19%、17%、16%と減少。年明けの支払い用にとって置くは3年連続で12%だった。
負債解消には、額の大きいものから融資者と交渉し、金利を下げたり固定額での返済にしてもらう、出来る範囲で返済、副収入の道を開拓する、車などを売り払うといった方法があるが、いずれの場合も必要最低限の経費の確保は不可欠だ。
専門家は、現在のような低金利では貯蓄による利子収入は負債につく利息よりも小さいから、負債のある人はその返済を優先、ローンを組む人も頭金を大きくして月々の負担を軽くするよう助言している。
9月の国内総生産(GDP)は前月比0・2%増え、第3四半期の成長と今年の累積成長率は共に1%になったが、部門別累積は、ある程度勢いがあるサービス業は2%増でも農業や工業は1・9%と0・8%減。1〜9月の一般消費は3・2%増だが投資は4・4%減で、投資が伸びなければ中長期の成長は危ういとの声も出ている。