ニッケイ新聞 2012年11月29日付け
環境省が27日、11年8月〜12年7月の法定アマゾンの森林伐採面積が前年比27%減り、国立宇宙調査研究院(Inpe)が観測開始以来の最低値と発表したと28日付伯字紙が報じた。
「地球にとって2012年に起きた唯一のグッドニュース」—。ブラジルにとって温室効果ガス排出の最大の原因でもある法定アマゾンの森林伐採が減った事を指し、イザベラ・テイシェイラ環境相がこう語った。
1988年の森林伐採の実態調査開始以来、年間伐採面積としては最低の4656平方キロという数字は、2010年8月〜11年7月に観測された6418平方キロより1762平方キロ(27%)少ない。これで、2020年までに3925平方キロ以下にするという、2005年発表の削減目標まであと731平方キロとなった。
05年発表の目標は気候変動に関する国策として立てられたもので、同年記録された伐採面積19625・40平方キロを20年までに80%削減する事を目標とした。法定アマゾンの伐採面積は、約2万8千平方キロだった2004年以降、2008年に若干増えた以外は減少傾向にあり、2009年に1万平方キロを割った。今回は5千平方キロの大台も割り、関係者を喜ばせた。
イザベラ環境相は、減少が著しかった州として44%減少して1699平方キロとなったパラー州を挙げたが、同州は依然として国内トップ。33%減少した2位のマット・グロッソ州の777平方キロの倍以上だ。
一方、同相が懸念を表明したのは、33%増のトッカンチンスと29%増のアマゾナス、10%増のアクレの3州。選挙年には伐採が増える傾向はあるが、他州の伐採は減少しており、原因を特定出来ずにいる。
なお、アマゾン人間・環境院(Imazon)では、8〜10月は昨年同期より125%伐採が増加と警告。Inpeも同様に、8月以降の伐採増加を確認している。
Imazon調査員のエロン・マルティンス氏は「年度初めだから、年間では減少となる可能性がある」としているが、環境省は来年以降、国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)の衛星を使って得たデータを基に監視員を現地派遣、違法伐採を確認し次第、手許の端末でブラジリアにあるシステムに登録、即座の摘発を目指す。違法伐採の監視、摘発には1200人の監視員のほか、連邦警察、Ibama職員らも参加する。
他方、法定アマゾンでの森林伐採減少は、26日に始まったカタールでの「気候変動枠組み条約第18回締約国会議(COP18)」でも報告される見込みで、ブラジル代表は、京都議定書から脱退したカナダや第2約束期間不参加の日本、ロシアなどの先進諸国の責任を問うと見られている。