ニッケイ新聞 2012年12月1日付け
【既報関連】連邦警察のポルト・セグーロ作戦で、ロゼマリー・ノヴォア・デ・ノローニャ容疑者が、同事件主犯とされるパウロ・ヴィエイラ容疑者と兄弟のルーベンス・ヴィエイラ容疑者を政府機関の要職に指名した際に、当時のルーラ大統領との仲介役を果たしたことが明るみとなった。11月30日付伯字紙が報じている。
ポルト・セグーロ作戦で摘発されたのは国家水資源庁(ANA)理事のパウロ容疑者を長とした汚職事件で、同容疑者は公的機関に民間企業などに有利になるような意見書を発行させる見返りに賄賂を贈っていた。
同事件には連邦総弁護庁(AGU)や連邦会計検査院(TCU)なども関与、国家資産であるはずの島に邸宅やヘリポートを造ったジウベルト・ミランダ・バチスタ元上議の個人資産擁護などが行なわれた。パウロ氏や民間航空監督庁(ANAC)理事のルーベンス氏らは23日に逮捕され、大統領府サンパウロ市出張所所長のロゼマリー氏も家宅捜索などを受けた。
ロゼマリー氏はルーラ前大統領やジウマ大統領の秘書として、その人脈を利用。ヴィエイラ兄弟がANAやANACの理事になる際、ルーラ前大統領との間を取り持ったことは、メールの交信記録で明らかになった。
最初のメールは09年1月付で、パウロ氏がロゼマリー氏にANAC監査役だったルーベンス氏の理事昇格をかけあっている。パウロ氏から「ロゼマリー氏が興味を持った」と知らされたルーベンス氏がロゼマリー氏に履歴書を送ると、「PR(大統領=ルーラ氏)がイベントのため来週サンパウロ市にくる。そこで紹介できるよう、来賓リストに名前を入れておくから予定を空けておくように」と返信が来た。ロゼマリー氏は労働者党(PT)で仕事をしていたため、ルーラ氏とは90年代から懇意になり、2003年の大統領府サンパウロ市出張所開設と同時に秘書として勤務、2005年に所長職に就いた。
メールによれば、パウロ氏自身も09年に履歴書を送っており、ルーベンス氏はANAC理事、パウロ氏もANA理事に就任した。メールのやり取りはその後も続き、ロゼマリー氏は娘のミレーレ氏の就職をルーベンス氏に託した。ミレーレ氏は後にANACに就職したが、ロゼマリー氏はこの時も「PR」という略号を使い、ルーラ氏との関係を娘の就職に利用した。ミレーレ氏はポルト・セグーロ作戦後、ANACを解雇された。
ロゼマリー氏のメールには「PR」以外にも、メンサロン事件の主犯者であるジョゼ・ジルセウ氏を表す「JD」の文字も登場する。
ルーラ氏は11月29日、サンパウロ市でのイベントでポルト・セグーロ作戦について聞かれ、コメントを拒否した。民主社会党(PSDB)のフェルナンド・エンリッケ・カルドーゾ元大統領は同日、サンパウロ市でのPSDB主催のイベントで「公私混同にも程がある」としてルーラ氏を批判した。