ニッケイ新聞 2012年12月1日付け
11月以降、一部地域で雨の被害まで出たりしたものの、水力発電所用の貯水池の水位低下は続き、大型だが貯水池がない発電所への懸念も出ていると11月25日付エスタード紙が報じた。北東伯では家畜の墓場も出現など、少雨の影響が続いている。
南東伯などでは洪水も起きたりして、水不足も解消に向かうかと思われた11月だが、主要発電所の貯水池の水位は11カ月連続で低下し、2001年以降最低のレベルとなった。11月21日の平均水位は南伯40・1%、南東/中西伯33・7%、北伯39・2%で、同月17日の32・4%から微増した北東伯も32・8%だ。
水位低下が特に顕著なのは、ミナス州とゴイアス州の間にあるイトゥンビアラで、11月1日は9%まで水位が低下。11月に入ってからの雨でやや改善したが、21日現在も13・46%で国内最低レベルだ。現在の発電量は、最大能力の2100メガワットの半分強の1100メガワットのみだという。
また、ミナス州とサンパウロ州の間を流れるグランデ川にあるマリンボンド貯水池の水位も17・93%で、昨年同期の半分だ。その他、ツクルイ16・7%、フルナス19・69%、サンシモン20・14%などで水位低下が目立ち、発電量を落とさざるを得ない発電所も出た事で、10月からは火力発電所の操業も全国で再開された。専門家は、経済活動が余り活発ではないため、何とかなっているが、経済が過熱すれば電力不足が起きるのは必至だという。
また、現在の電力供給と共に懸念されるのは、川の水をせき止めるダムしかない(貯水池は持たない)ベロ・モンテ、サントアントニオ、ジラウといった大型発電所が操業し始めた時の事。発電用の水は川から直接取り込むため、川の水量が発電量に直接響くからだ。ベロ・モンテ発電所のあるシングー川は雨季と乾季の水量の差が25倍。5倍程度の南東伯とは事情が大きく異なる。
電力量確保という意味で考えられるのは、乾季に強まる風を使う風力発電の併用だが、現在のところ、水・風両用方の発電所の計画はない。
また、貯水池の水位が最も低い状態が続いている北東伯は、飲み水や家畜の餌の確保も困難で、11月30日付G1サイトは、195市、200万人に干ばつ被害が及んでいるパライバ州の実態を報告。過去30年で最悪の干ばつのため、草木も育たない農場で死に絶えた家畜の死骸や、街道沿いに出来た青天井の家畜の墓場の写真などと共に、農家の人が薬を買う金を家畜の餌用に回したりしているが、それでも牛がやせこけ、乳も出なくなっているといった話などが掲載されている。