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在聖総領事館=主役不在の公式壮行会=コリンチャンス突然の欠席=1カ月前からの調整の末=「日本で大丈夫?」との声も

ニッケイ新聞 2012年12月1日付け

 12月6日から名古屋・横浜を舞台に開催される『TOYOTA FIFAクラブワールドカップ2012』に南米代表として出場するサッカーチーム・コリンチャンスSC(サンパウロ市)の壮行会が11月29日、在聖総領事公邸で行われたが、何と会長、選手、監督が当日になって突然の欠席・・・。代理で挨拶に立ったエリエ・ウェルド副会長からも謝罪の言葉はなく、何とも締りのない雰囲気のまま会の幕は下りた。執行部までこの調子で、いったい日本で大丈夫かと危ぶむ声が会場では聞かれた。

 この壮行会の正式名称は「訪日歓迎レセプション」。在聖総領事館の主催であり、いわば日本国政府による公式の歓迎行事だ。昨年の南米代表チーム「サントス」の時は、会長はもちろん監督、ネイマール、ガンソら8人の選手が揃って参加した。その前、05年にはサンパウロFC選手23人が出席していた。
 ところが今回、コリンチャンスからは肝心の会長も選手もおらず、コメントを期待されていたチテ監督も・・・。いわば主役抜きの歓迎会となった。出席したのは、エリエ副会長を筆頭に役員ら13人のみ。
 1カ月以上前から歓迎会の打ち合わせが始まり、先週までは30日に予定されていたが同クラブからの要請で、急きょ29日に無理やり調整し直したばかり。その時に「調整する代わりに、会長、監督、選手に揃って参加してほしい」と念を押した経緯がある。
 「直前まで来ることで話が進んでいた。欠席の知らせを受けたのは当日の朝です」と同総領事館の中山雄亮副領事はため息をもらす。欠席理由は、監督・選手らは「日曜の試合のための練習」、会長は「急きょ州政府に呼び出された」とのことだという。
 当日は、和太鼓グループ「生(しょう)」による迫力の演奏や豪華な和食など、歓待のために準備を進めてきた総領事館側にとって肩透かしを食った形となった。エリエ副会長は「目指すのは優勝のみ。現在1万人いると言われる日本のコリンチャンスファンを、2万、3万と増やせるような魅力的な試合を見せて、結果を勝ち取りたい」と力強く話していたものの、最後まで主役の不在を謝るような場面は見られなかった。
 同クラブ執行部の〃ドリブル〃に振り回された形の主催者・総領事館はもちろん、ブラジル・トヨタ社長、援協、文協、県連ら日系社会代表も勢ぞろいした会場からは、「せっかくの公式な歓迎行事なのに、ちゃぶ台をひっくり返されたような感じ。日本でも大丈夫か」との感想が聞かれた。
 同大会は6日から始まり、Jリーグチャンピオン・サンフレッチェ広島を含む各大陸の王者7チームが出場し、クラブチーム世界一の座を争う。コリンチャンスは12日の準決勝から登場する。

過去最多のビザ申請数=8500件の大記録達成

 在聖総領事館の発表によれば、今年の10、11月の2カ月間に発給された短期滞在査証の発給件数が異例の8500件に上っていることがわかった。
 昨年同時期の月ごとの発給件数(約850件)を大きく上回り、通常の約5倍のブラジル人が日本に渡ることになる。例年の発給数を差し引いても7千人以上が訪日し、日本側のデカセギを中心とするファンと合流し、試合会場には1万人以上が集結すると予測されている。
 同総領事館査証班関係者によれば、「近年まれに見る数字。短期滞在査証に限れば、過去にこれだけの数を短期間のうちに発給した例はない」と言い、〃コリンチャンス効果〃の大きさに目を丸くしていた。