ニッケイ新聞 2012年12月6日付け
ジウマ大統領が打ち出していた電気代の値下げ率が、目標にしていたレベルに達しないことが明らかとなった。大統領は問題の背後に民主社会党(PSDB)の存在があるとしている。5日付伯字紙が報じている。
ジウマ大統領が9月に発表した電気代の値下げは、生産コストの高い工業界の要望で着手したものだった。政府は、平均20・2%、一般家庭は16・2%の値下げを目指していたが、現時点では平均16・7%、一般家庭は14・5%の値下げになる見込みだ。
これは、予定通り値下げするために、企業側の利益などを現行の70%程度に下げる内容の契約書にサインするようにとの政府側の要請を、発電会社4社が拒否したためだ。政府側は、2013〜17年に契約が切れる発電会社と送電会社に、改定契約書にサインするよう求めていたが、送電会社は9社全てが更新に応じたものの、発電を担当する会社は14社中10社が応じたのみだ。
契約改定を拒んだのはサンパウロ電力公社(Cesp)、ミナス・ジェライス電力公社(Cemig)、パラナー電力公社(Copel)、サンタカタリーナ電力公社(Celesc)で、発電部門の契約更新が60%しか出来なかったために、電気代の値下げ率が下がったという。
鉱山エネルギー省のマルシオ・ジンメルマン事務局長は、契約更新を拒否した会社は「株主のご機嫌伺いをして、国民全体について考えてない」と批判した。
連邦政府は、電気代の値下げ率が下がったのはPSDBのせいと批判。Celescは影響が小さいから別だが、占有率の高い発電会社3社は、PSDBの知事が統治する州の公社だからだ。
一方、アエシオ・ネーヴェス上院議員は4日、ジウマ政権の電気代値下げ政策は混乱をもたらすだけと批判した。同上議は2003〜10年のミナス州知事で、3日にはPSDB首脳から14年大統領選挙候補とほのめかされてもいる。
アエシオ氏は「9月の電気代値下げ発表以来、エレトロブラスの株価は60%暴落した。これでは、サントアントニオやベロ・モンテなどの発電所建設を予定通り続けるためには、来年は85億レアル必要となる」と語り、「労働者党(PT)政権が11年も電気代を下げる努力を怠ってきたツケだ」とした。同氏は社会統合基金(PIS)廃止などによる値下げ案を主張している。
契約更新を拒否した会社が運営するサンパウロ州のトレス・イルモンスやミナス州のジャグアラなどの発電所は、現行契約が切れた時点で運営権の入札が行われる。一般家庭の電気代は水力発電より高い火力発電の経費加算で、約10%の値下がりと終わる可能性も強い。