ニッケイ新聞 2012年12月6日付け
アマゾニア援協=厚生ホームバザー開催=多目的施設建設に着工=待たれる独立法人化
アマゾニア日伯援護協会(及川定一会長)は11日午前9時より、傘下でアナニンデウア市にある厚生ホームにおいて、新設された多目的施設の落成式を行った。
沼田行雄在ベレン日本国総領事、吉田仁副領事、生田勇治汎アマゾニア日伯協会々長、諸石輝雄厚生ホーム担当理事、山中正二パラー日系商工会議所副会頭が出席し、新設された多目的施設(縦85米×横25米、総面積は2125平米)のテープカットを行った。
同多目的施設には、厚生ホーム用舞台、北伯老人クラブ所属・ゲートボール愛好会用ゲートボール場2面、北伯相撲連盟用土俵などが新設された。
これは昨年7月3日に開催された臨時総会で決議されたもの。同厚生ホームを独立採算の法人化する目的で、施設の半分の土地を売却した。その資金を将来の運営基金に当てる構想だという。
売却された半分に設置されていたゲートボール場や土俵を敷地内に新たに作り直すため、その基金の一部、30万レアルを使って昨年7月から工事を着工していた。13年の3月には完成する予定だ。「独立法人化に関して、会員らは今後の理事会の在り方を注視している」との声が聞かれた。
当日は落成式のあと、第17回厚生ホームバザーも開催され、約2500人の参加者でにぎわっていた。また北伯相撲連盟は、第43回北伯相撲選手権大会を同ホーム内に新設された常設土俵で同時に開催した。
開拓先亡者追悼法要に150人=先駆者861柱の苦闘偲ぶ
パラー州にあるトメアスー文化農業振興協会(乙幡アルベルト敬一会長)は11月15日午前9時から、トメスー西本願寺留安山(山田元寺院代表)において、阪野真司在ベレン日本国領事、坂口フランシスコ渡トメアスー総合農業組合理事長ら来賓と約150人の日系人参加のもと、恒例の開拓先亡者(861柱)の追悼法要を厳修した。法要は、トメアスー西本願寺留安山代表の山田法務使が導師を務め、鈴木耕治、下小薗昭仁、加藤広昭3氏らが唱和した。
山田法務使は日伯両語の法話の中で、同移住地の83年の歴史を振りかえり、「マラリアなどで亡くなられた861柱の先人のご苦労があったからこそ、現在の森林農法による繁栄にたどりついた。心からの感謝を先人に捧げると同時に、我々もこれから負けずに頑張りましょう」と語りかけ、厳かに法要は終了した。
その後、午前10時半頃からトメアスー文協に場所を移し、アマゾン日本人移民入植83周年記念祝賀会を150人ほどで行った。
乙幡文協会長は挨拶の中で、先人の苦労に感謝の言葉を捧げ、「先駆者の苦闘があればこそ、今の我々がある。今まで以上に頑張らなくては」と決意を新たにしていた。(パラー州通信員=下小薗昭仁)
追悼の辞=トメアスー文化農業振興協会 乙幡敬一会長
人跡未踏の密林地帯トメアスーの地に初めて日本人移住者が入植して、今年で83年の年月が経ちます。
『入植83周年記念開拓先亡者追悼法要』を日系在住者並びに地域代表者参詣のもとに執り行われますことは、大変意義深く、感謝いたすものであります。
1929年9月22日第1回入植。始めは、辺境の地で作物も定まらず、マラリアや黄熱病などが蔓延した苦難の時代を経ましたが、やがて胡椒産業を興し、パラー州経済に大きく貢献するまでに発展させました。ところが、やがて猛威をふるようになった胡椒の病害が日系社会の存亡にも関わる大きな打撃を与えました。
しかし、それに対して先輩移住者の皆様は様々な果樹作物、さらに用材用樹木などを混作という形で植え、作物の多様性を計られてきました。その結果、今、わたしたちは『一層環境に優しく、持続可能な農業の経営を安定させる』という明確な目標に向かって励むことができるようになりました。
さらに、今日のトメアスーは、国家的プロジェクトの開始によって社会的インフラが整備され、住みやすいトメアスーに発展しようとしています。この様に今のわたしたちがあり、更なる明るい未来の姿を描きながら努力できるようになったのも、ひとえに先人の長い間のご苦労と忍耐で築かれてきた礎があればこそであります。
本日は開拓先亡者861柱に対する法要を執り行い、輝かしい業績をたたえ、深く感謝の念を捧げたいと思います。
ありがとうございました。