ニッケイ新聞 2012年12月13日付け
ゴイアス州連邦裁判所は11日、モンテ・カルロ作戦の主犯とされるカルリーニョス・カショエイラ容疑者への人身保護令を認めた。ずっと沈黙を保ってきた同容疑者は釈放後、「労働者党(PT)は私が彼らの〃深い喉〃であることを知っている」と意味深長な発言を行なった。12日付伯字紙が報じている。
カショエイラ容疑者は、ゴイアス州や連邦直轄区の知事や市長、連邦議員、建設会社のデルタ社などを巻き込んだ贈賄汚職で、連邦警察のモンテ・カルロ作戦により2月、サンミシェル作戦により6月と2度に渡って逮捕されていた。
連邦地方裁判所のトウリーニョ・ネット裁判官は6月に同氏の人身保護令を出したが、この時はサンミシェル作戦の審理前であったため釈放されなかった。連邦直轄区裁判所のサンミシェル作戦審理は11月20日に終わり、5年(セミ・アベルト)の判決を受けたが、2月からの服役で最低期間の刑は受けたとみなされて帰宅した。
その後、12月8日にモンテ・カルロ作戦の裁判で、公金横領、犯罪計画など五つの罪状で合計39年8カ月の刑が言い渡され、再び刑務所へ戻されたが、11日、連邦地方裁判所でまたもトウリーニョ・ネット裁判官が「モンテ・カルロ裁判での再拘留は無効」として、2度目の人身保護令を発令した。
カルリーニョス氏はゴイアス州アパレシーダ・デ・ゴイアニアにある刑務所を後にする際、報道陣に取り囲まれ、「PTは私が彼らの〃深い喉(公表されたら困る弱みを握る人物)〃であることを知っている」から、同氏を刑務所に入れておこうとしたと発言。報道機関などに話すことを弁護士に認めてもらうとも話した。〃深い喉〃は、1974年に当時のリチャード・ニクソン米大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件の情報源となった人物を指すコードネームだ。
PTはこのところ、メンサロン事件主犯格の1人であるマルコス・ヴァレーリオ容疑者が「メンサロンはルーラ前大統領が了承して行なったものだ」とした供述内容が漏れる、ポルト・セグーロ作戦でルーラ氏の元秘書であるロゼマリー大統領府サンパウロ市出張所所長ら摘発といった渦中にあるが、カショエイラ氏の発言もモンテ・カルロ作戦とPTの関係性をにおわせ、大いに注目される。
車に乗り込んだカショエイラ氏は、車窓を下げて「正義はなった」と答えたあと、12日に行なわれるモンテ・カルロ事件の議会調査委員会(CPI)には「デルタ社と直結しているメンバーが複数いる」との発言も行なっている。
カショエイラ事件のCPI委員長のヴィタル・ド・レーゴ氏(民主運動党・PMDB)は11日、オダイール・クーニャ下院議員(PT)による最終報告書承認投票を延期した。レーゴ氏は報告書の承認は、CPIの年内最終日の22日までに行なう意向だ。