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ハイチ人へのビザ不足=来年までの発給枠満杯に=再びはびこる悪徳業者ら

ニッケイ新聞 2012年12月13日付け

 2010年1月の大地震以降、ブラジルへ不法入国するハイチ人が目立つが、ブラジルが決めたビザ発給枠は既に来年分まで使い切ったと8日付フォーリャ紙が報じた。
 米州一貧しく、10年1月の大地震で20万人以上が死んだハイチでは、ブラジル行きを希望する人が後を絶たず、首都ポルトープランスのブラジル大使館前にはビザ申請者の長い列が続いている。
 ところが、ハイチ人へのビザは2012、13年の2年間で2400家族分と決められており、11月末までに1100家族分を発給済み。面接を終えてビザ発給待ちの家族も1200組あるため、医療目的など、急を要するケースに対応するための100組の予備枠以外は、規定枠を使い果たした事になる。
 13年末までの発給枠は満杯との知らせは、ハイチ国内にも伝わっているが、ビザ希望者は一向に減らず、ブラジル大使館が枠の拡大や期間延長が起きた時のための順番待ちリストを作ったところ、あっという間に1500家族が登録した。
 10年1月の地震以降も、コレラ流行や暴風雨など、様々な災害に見舞われているハイチでは、住宅再建などの復興事業も思うように進んでおらず、これという地場産業もない。雇用の機会も少なく、生活に困った人々が選ぶ道の一つはブラジル行きだ。人身売買なども行うコヨーテに金を払い、ペルーなどを経て国境を越える不法入国はいまだに続いている。
 ハイチからの不法入国者が多いのはアクレ州のブラジレイアで、ハイチ国内でフォーリャ紙のインタビューを受けた22歳学生も、「ブラジレイアにいる友人が『ここはいいよ』と言っている」と前置きし、ブラジル政府にビザの発給数を増やしてくれるよう求めた。
 ハイチ人用のビザ発給枠が満杯である事は国家移民審議会(CNIg)にも伝わっており、2014年以降の永住ビザ発給停止も含めた現規定維持、ビザ発給数は増やすが14年以降の発給停止維持、発給期間延長のいずれかの解決策がとられる見込みだという。
 ビザ発給停止によって懸念されるのは、コヨーテを頼って不法入国する人の増加やビザ取得を約束して大金を巻き上げる悪徳業者の横行だ。ハイチでは、確実にビザが取れると宣伝して1人1千ドルを集めたが申請書類を作成するだけという業者や、宗教団体の会合があるから何十人分のビザが必要と大使館に持ちかける業者も頻発。正規のビザ発給料金は200ドルだが、法外な金を払ってでもビザを手に入れたい人や、コヨーテに1千〜3千ドルを払って国境を越える事を考えている人も相当数いるようだ。