ニッケイ新聞 2012年12月13日付け
取材を依頼すると、色々な反応が返ってきて興味深い。快く引き受けてくれる人もいれば、「写真や名前が載るのはちょっと…」という人も。
「書いてもいい話なのか」と気にする記者に対し、先日私生活や過去を率直に語ってくれたある戦前移民の女性は、「学校にも出ていないこんな私を選んでインテレビスタしてくれて有難い」と予想外の返事を返してきた。
こう言ってくれる人は稀だが、比較的初期の移民ほど快諾してくれることが多い気がする。接していても大らかで、こせこせしない。ドラマのように波乱万丈で壮大な人生を歩んできた移民にとって、新聞に載ることなど些細なことなのだろう。
個人情報問題に過剰に反応し、常に他人に警戒している現代の日本人とは対照的だ。移民の何気ない小さな振る舞いに、同じ日本人としてどこか大きな違いを感じる。(阿)