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PT=ルーラへの捜査断固阻止へ=ジウマ大統領の命令で=前大統領はマスコミ批判=FHCを盾に野党に対抗も

ニッケイ新聞 2012年12月14日付け

 メンサロン事件の主犯マルコス・ヴァレーリオ被告がルーラ前大統領の同事件への関与を示す供述をしたとの11日付エスタード紙の報道後、ルーラ氏や労働者党(PT)が全面否定に動いている。与党側は、フェルナンド・エンリッケ・カルドーゾ元大統領(民主社会党・PSDB)の証人喚問要求などでこの問題に対抗しようともしていると、13日付伯字紙が報じている。

 ヴァレーリオ被告の証言は9月24日に連邦検察官の前で行われたもので、メンサロンの資金がルーラ氏の私的経費の支払いにも利用されたことや、ジョゼ・ジルセウ被告が同被告に1千万レアルの銀行貸付を了承したのを承認したなどの内容が含まれている。11日以降、野党側からルーラ氏の調査を求める声があがり、ジョアキン・バルボーザ連邦最高裁判所長官もそれを支持する声明を出していた。
 それに対しジウマ大統領は「ルーラ前大統領のイメージを汚す嘆かわしいこと」とし、PTの閣僚たちにルーラ前大統領の擁護を命じた。ジルベルト・カルヴァーリョ大統領府総務長官は12日の記者団との朝食会で、「ルーラ氏の個人資産は詳細に検査されており、今日に至るまであやしいものは出ていないし、今後も出ない」と語った。カルヴァーリョ氏は、12日に連絡を取った際、ルーラ氏は「非常に憤っていた」とも語った。
 また、ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法務大臣は「ヴァレーリオ被告の供述は40年の判決を受けた後の投獄逃れのためで、証拠がなく、信憑性もない」と語った。
 ルーラ氏は12日、パリで行われた自身の財団主催の講演会で、「政治家が犯罪を疑われると一日中テレビや新聞に顔が出て消えないが、銀行家や賭博師の顔は表に出ない」と、マスコミの姿勢を皮肉った。さらに「02年の大統領選挙では怖がって私に投票しなかった企業があったが、私の政権ほど企業が儲かった時はない。もし今私が立候補したら前は得られなかった票が入るはずだ」と、これまで否定的だった大統領再立候補への可能性もほのめかした。
 ヴァレーリオ被告の証言報道後、野党はルーラ氏に対する検察の調査を強く求め始めた。PSDBと民主党(DEM)、社会大衆党(PPS)の代表は12日、議員の署名入りの調査嘆願書を検察長官に提出した。
 与党側も12日に、野党側の動きの牽制に入った。PTのジルマル・タット下院リーダーが、05年の議会調査委員会に提出された電力会社フルナスの不正申告に関してカルドーゾ元大統領の議会召喚、ブラジル労働党(PTB)のフェルナンド・コーロル上議が、カルリーニョス・カショエイラ被告が主犯のモンテ・カルロ作戦やヴェガス作戦の捜査打ち切りを命じたとしてロベルト・グルジェル連邦検察庁長官の議会召喚を承認させた。野党リーダーと検察に圧力をかけ、ルーラ氏周辺の調査を防ぎたい与党側の思惑は明白だ。