ニッケイ新聞 2012年12月14日付け
連邦警察が12日、38大学の医学部で不正入試を行っていた犯罪組織七つを摘発するカロウロ作戦を実行し、11州と連邦直轄区(DF)で52人が逮捕されたと13日付伯字紙が報じた。
医学部での不正入試摘発は1月と3月にもあったが、1年半にわたる捜査に基づく同作戦では38医学部で54回の不正入試を確認。12日発行の逮捕令状は70件、捜査令状は73件だ。
摘発された犯罪組織七つは、入試一つに付き40〜50万レアルを荒稼ぎ。犯行の手口は、受験者になりすました医学部学生や医師達が偽造した身分証明書を使って受験する方法と、受験会場で問題を解いた人物が会場外に出て受験生に解答を送る方法が大半だ。
後者の場合、受験生との連絡は携帯電話のメッセージ(SMS)などで行われ、受験生1人当たり2万5千〜5万レアルの金を要求。代理受験の場合は4万5千〜8万レアルが相場だった。
逮捕者が出たのは、ゴイアス、ミナス・ジェライス、サンパウロ州、リオ、南大河、マット・グロッソ、ロンドニア、バイア、エスピリトサント、サンタカタリーナ、パラーの各州とDFで、逮捕者最多は、犯罪組織六つのリーダーが住むゴイアス州の28人で、ミナスの15人がそれに続く。
犯罪組織のリーダーは現職医師や農場主、企業家で、コレトールと呼ばれる人物が不正をしてでも医学部に入りたい受験生を見つけ出す。話がまとまると、アシステンテと呼ばれるグループが、身分証明書の偽造や通信機器の手配、試験当日の行動計画立案とその指導を行い、代理受験者や会場に乗り込んで解答を用意する人物はパイロットと呼ばれる。逮捕者の中には、逮捕されても釈放後に同じ犯行を繰返し、20年以上荒稼ぎしてきた人物もいた。
不正入試が行われた医学部は38(フォーリャ紙では45)で、現時点では不正入試を頼んだ受験生は逮捕されてない。各大学で見つかった疑惑例は20件前後で、不正入学者の中には既に卒業し、現場に出ている人もいるという。新入生や在校生についての処分は各大学の判断に委ねられるが、卒業者の処分は教育省の担当となる。
不正入試が行われた38大学は、サンパウロ州の14大学を筆頭に、ミナス8、リオ5、ゴアイアス3、その他8州が各1。地方医師協議会の試験が義務化されたサンパウロ州では、医学部最終学年生2500人中、54・5%が120問中72問以下の正解率で、現場に出て働ける状態にないと判断された事とも関係がありそうだ。
犯罪者達は、公務員試験や弁護士会の試験、競争率の激しい学部の入試でも不正を働いており、医学部での不正は氷山の一角に過ぎないという。