ニッケイ新聞 2012年12月15日付け
イギリスの2大政党を目指すと大言壮語する政治家もいたが、今回は12政党から1504人が立候補するという乱戦であり、形振りかまわぬ闘いを演じている。安全保障では、北朝鮮がミサイル発射、沖縄上空を通過したし、中国の尖閣諸島周辺への航空機や艦船の領空、領海侵犯が相次ぐなど日本周辺の危機は高まり、中韓との外交も途絶えている▼国の借金は1千兆円を超え、事実上の破産に達しているが、これに如何に対処するかの問いにどう答えるのかも、この総選挙の大きな課題である。何しろ12年度の予算90兆円のうち50兆円近くが国債という借金財政なのであり、このままでは「子孫に借金を置いて行く」ための政治としか云えない。こんな赤字なのにODAとかでぽんぽんと外国支援に力を入れるばかりの政府方針に国民の支持は得られ難いのではないか▼こんな難問山積の選挙だが、目下の状況では自民圧勝、民主没落だけがはっきりしている。自民は、最大で260議席とされ、民主は良くても100議席。最悪なら70議席の観測もあるし、ほぼ100%の確率で自民党が政権を奪回する。話題になった第三極は、石原代表の維新が50議席を上回るらしいが、あの未来の党はよくても10議席と真に苦しい▼公明党は健闘しているし、共産党や社民党は力が弱い。やれ「脱原発」や「卒原発」とかで大騒ぎになったけれども、これも選挙では、現実路線の支持が多い。泣いても笑っても明日16日が投開票日。この衆院選挙は政権交代をも視野に入れ、選択を誤らない一票を—。(遯)