ニッケイ新聞 2012年12月20日付け
メンサロン事件の公判終了により、同事件主犯格のマルコス・ヴァレーリオ被告の証言に基づくルーラ前大統領の捜査開始に備え、ジウマ大統領を筆頭にルーラ氏を守ろうとする動きが本格化しつつある。18〜19日付伯字紙が報じている。
ヴァレーリオ被告が9月24日に検察に対し、「ルーラ氏がメンサロン用の資金の貸付を了承した」「ルーラ氏がメンサロン資金を私的利用した」などの証言を行なったことは11日付エスタード紙既報で、ジョアキン・バルボーザ連邦最高裁長官はその直後、ルーラ氏の捜査も行なうべきだと発言していた。
だが、検察側は、メンサロン事件の公判中に動いて同裁判に支障を来たすことを懸念し、すぐには行動に移らなかった。だが、公判終了から2日後の19日午前、ロベルト・グルジェル連邦検察庁特捜局長官は、「ルーラ氏に対するヴァレーリオ被告の証言を改めて検証する」と発表した。
一方、ジウマ大統領をはじめとする労働者党(PT)陣営は、こうした検察側の動きをけん制するように、ルーラ氏を守る体勢を築いている。
ヴァレーリオ被告の供述に関する報道直後、ジウマ大統領が滞在先の欧州からルーラ氏保護の司令を出したほか、PTは「連邦政府に関する新たな供述を行ないそうな危険人物」のリストにそった対策をとる。16日付エスタード紙によれば、ヴァレーリオ被告とポルト・セグーロ作戦の主犯とされるパウロ・ヴィエイラ容疑者、モンテ・カルロ作戦のカルリーニョス・カショエイラ容疑者は危険度「高」、ポルト・セグーロ作戦に関与したロゼマリー・ノローニャ元大統領府サンパウロ市出張所所長やメンサロン事件で有罪となったPT元会計のデルービオ・ソアレス被告は、共にPT関係者だが「中」、ルーラ氏の「何でも屋」を自称する企業家のフレウジ・ゴドイ氏は「低」とランク分けされている。
また、18日には、サンパウロ市南部イピランガにあるルーラ研究所にPTや連立与党の知事たち8人が集まり「ルーラ氏保護」のための会合を持った。参加者の中には「前大統領の古くからの親友」である民主社会党(PSDB)のテオトニオ・ヴィエイラ・フィーリョ・アラゴアス州知事もおり、「ルーラ氏の功績はカルドーゾ元大統領同様、ブラジルにとって大きなもの。ヴァレーリオごときに名誉を傷つけさせるわけにはいかない」と語った。なお、14年大統領選への出馬が噂されているエドゥアルド・カンポス・ペルナンブーコ州知事(ブラジル社会党・PSB)は、同党新市長の就任準備のため欠席した。
同日はブラジリアの連邦議会でも連立与党の議員たちが、同様の趣旨のイベントを行なった。エンリケ・エドゥアルド・アウヴェス下院議員(民主運動党・PMDB)が「ルーラ氏はわが国の歴史を変えた宝だ」と語ったのをはじめ、与党議員たちはルーラ氏に対する敬意を次々と口にした。