ニッケイ新聞 2012年12月20日付け
教育省が18日、2011年度の高等教育機関評価が合格ラインに達しなかった学部が672あり、その内の207学部は、年末に行った入試での合格者受け入れと来年度の入試の実施も停止と発表したと19日付伯字紙が報じた。
2008年に始まった教育省の高等教育機関評価は学部予備評価(CPC)と呼ばれ、分野毎に3年周期で行われる。11年度の評価対象となったのは08年と同じ自然科学や情報、通信、工業生産関連の学部で、連邦大学と私立大学で見た場合、5段階評定で最低または不十分とされる1や2の評価を受けた学部が672あった。
CPCは、1年次在籍中の学生と最終学年に在籍中の学生を対象とする学力試験(Enade)の結果から見た学力と教授陣の充実度、図書館や実験室などの施設面の3項目を、各々、55%と30%、15%の比重で総合評価したもので、教育省では3以上を合格ラインとしている。
CPCが1か2だった学部には、改善計画の提出や2カ月毎の改善状況報告書の提出が義務付けられる。また、学部の定員を増やす事も禁じられ、3年後の評価でも不合格なら、学生の新規募集停止、それでも改善が見られない場合は廃部となる。
11年度の評価対象は8665学部で、1772の連邦大学と私立大学では6083学部が評価を受け、551大学672学部が不合格となった。08年も不合格だった連邦大学と私立大学は185校で、改善努力が認められて合格ラインに達するまでは、新しいキャンパスや学部の開設も禁じられる。
11年度の評価で不合格と評価された連邦大学と私立大学672学部の中には08年度に続いて不合格となった学部が207あり、これらの学部は新規募集停止と今年行った入試の合格者受け入れ禁止が決まった。ただし、117学部については、2カ月毎の評価で改善が見られれば、13年の入試実施が認められる可能性がある。
また、教育省の権限が及ばない州立または市立大学でも2度連続で不合格となった学部が107あり、教育省は州や市に善処を求める予定だ。
ブラジルの高等教育は、人口増加や所得向上、労働市場からの要請などで急速に拡大したが、その一方で、内容の伴わない講座開設や大卒の肩書きがあっても実力のない労働者の増加といった問題も起きていた。
16日付エスタード紙には、「1960〜70年代の人口爆発期に十分な教育を施せなかった事は、20世紀のブラジル全体のミス」という内容の書物が紹介されており、熟練工を含む質の高い労働者の不足や生産性の低さは教育の質と普及度が原因との通説を裏付けた。