ニッケイ新聞 2012年12月21日付け
ロベルト・グルジェル連邦検察庁特捜局長官が19日、メンサロン事件で有罪となった被告への刑を即刻実行するよう最高裁に嘆願した。20日付伯字紙が報じている。
メンサロン事件の公判は17日に終わり、最高裁が休廷となった19日の夕方、グルジェル氏は20ページにわたる嘆願書を最高裁に送った。グルジェル氏がこのタイミングで嘆願書を出したのは、最高裁の会期中に提出すれば、嘆願書の内容が判事全員で審議され、要請を受け入れてもらえる可能性が少ないと判断したためだ。
嘆願書の具体的な内容については明らかにされていないが、グルジェル氏は嘆願書を提出する前に「最高裁での決定は最終的なものであり、上告によって変わるようなことがあってはならない」と語っている。グルジェル氏は、同裁判で有罪になった25人の被告から次々と起こると予想される上告を待つことで、刑の執行開始が2014年まで待ち越しになることを恐れている。
最高裁での審理は19日までで終わり、20日から休廷となった。再開は2月からのため、休廷期間中に提出された訴状は1月半ばまではジョアキン・バルボーザ長官、それ以降はリカルド・レヴァンドウスキー副長官が1人で審議することになるが、グルジェル氏が望む即刻の刑執行を行なう場合、年内の判決期限は今日21日まで。バルボーザ長官は嘆願書が提出される前、長い書類なら内容の確認に手間取るから年内の判断は無理だが、短ければ21日に結論を下す可能性があると発言していた。
もし、長官がグルジェル氏の嘆願通りに刑を執行した場合、被告の弁護側は、休廷中の審議担当がレヴァンドウスキー氏に代わるタイミングで被告の人身保護を求める訴えを起こす考えだ。また、ジョゼ・ジルセウ被告らは今週、この即時の刑執行(刑務所入り)の問題に関し、バルボーザ長官ひとりの判断で決定を行なわないよう求める嘆願書を出している。
被告側弁護士は一様に、グルジェル氏の嘆願書提出に対し不満を述べている。マルコス・ヴァレーリオ被告が経営する会社の経理担当理事だったシモーネ・ヴァスコンセロス被告の弁護士、レオナルド・ヤロチェウスキー氏は、「休廷中の担当判事が1人で判断して即刑務所入りとなれば、被告側が不服を申し立てることができる場所はどこにもない。被告たちはパスポートも取り上げられている。これは米州人権裁判所に訴えてもいいレベルの問題だ」との見解を示している。