ニッケイ新聞 2012年12月22日付け
振り返ってみると特段大きなニュースがなかったといえる2012年。しかし今後の展望を踏まえると、その予兆ともいえる動きは多かった。日本企業の進出の波、それを後押しする社会保障協定の発効、多くの市議・市長を誕生させた地方統一選挙、伸び続ける日本酒の売り上げ—。一方、一世の老齢化を顕著に示した在外選挙者数の激減、求心力を取り戻せない文協、外注事業で大赤字を出した県連などコロニアの体力低下も目立った。昼夜週末なく東奔西走した本紙編集部が選ぶ「コロニア10大ニュース」をお届けする。
進出企業の第三の波到来か—。ブラジル日本商工会議所の会員社数(現地資本、外資系含む)が過去最高の341社(12年12月時点)となり、それまでの最高記録だった333社(1990年)を上回った。
341社のうち、日本からの進出企業は200社、当地資本や外資系は141社。1970年からの集計以降、日本企業の会員数が最高に達したのは80年の215社、75年の212社に続き、今年の200社(12月時点)が3番目。
08年の世界金融危機の後、2014年のW杯、16年の五輪の開催を目前にし、中国や東南アジアからブラジルへと目を向ける企業が増えている。それに伴い会議所の会員数も増えているようだが、年間の新規加盟社数が30〜50社で推移した〃進出ラッシュ〃を記録した70年代半ばとは、まだ比べものにならない。
成長著しい中間層をターゲットに「モノを売る」市場として、中長期的に新たな地位を確立する展望を持つ企業もあるようだ。
日本進出企業のサポートを行ない、日本語版の投資ガイドブックも発刊したPwC社によれば、昨今は単なる視察だけに終わらず、具体的な相談が増えているという。70年代半ばに続く、あるいはそれ以上の進出企業ブームを迎えるかもしれない。