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W杯と夏季五輪に向けて=リオ州日伯文化体育連盟理事長 鹿田明義

ニッケイ新聞 2013年1月1日付け

 新年明けましておめでとうございます。昨年を振り返りますと、8年間続いたルーラ大統領から、ジルマ大統領に替わった1年目は閣僚のスキャンダルで不安でしたが、2年目は支持率も高水準を維持しています。
 国内の景気は欧州債務危機・中国経済の影響を受け昨年の経済成長予測は下方修正され1・5%となっており、中央銀行の通貨政策委員会(COPOM)が経済基本金利(SELIC)を、年始めは11・0%だったものを11月には7・25%まで、3・75%も下げました。ですが、インフレは徐々に上昇してきています。
 隣国アルゼンチンでクリスチーナ政権に不満を抱く70万人の市民がブエノスアイレス市内をデモ行進しました。ブラジルもアルゼンチンへの輸出が落ち込んだことで、景気に悪影響が出始めています。
 ブラジル国内では6月には国連主催「持続可能な開発会議」RIO+20が開催され、193カ国の代表者が集まり、首脳会議が開かれました。日本からは玄葉光一郎外務大臣が出席され、7月には国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)がリオ市を市街地では世界初の世界文化遺産に登録しました。
 日本国内でも野田政権は消費税増税と社会保障と税の一体改革・環太平洋連携協定(TPP)・脱原発で増税派を中心に複数の議員が離党、また、石原都知事が突然辞職、「太陽の党」を結成し、橋下徹大阪市長の「日本維新の会」と合流、また、滋賀県の嘉田由紀子知事が「日本の党」を結成、小沢代表の「国民の生活」も合流「脱原発・卒原発」を宣言、年末の衆院選は民主、自民両党に第三極の総選挙となりました。
 私は日本には原子力エネルギーは今はまだ必要だと思います。石油やガスなど天然資源が乏しい日本では原発による安定した電力供給が経済活動の基盤です。福島原発の事故は自然がもたらした災害で、日本では40年以上も原発の事故は無く、経済の発展に寄与して来たではありませんか。原発に替わる新たなエネルギーが確保されてから原発を廃止すれば良い。日本経済も貿易収支は過去最大の赤字、尖閣諸島問題で対中輸出が減少、円高の影響を受け日本経済は依然低迷しています。
 一昨年の東日本の大震災で徐々に復興しては居りますが、福島原発事故で未だ自宅に帰れない人達が多数居り完全復興には時間が掛かりそうです。
 昨年は日本の国境問題が持ち上がり、中国とは尖閣諸島の国有化に伴い日中間の緊張感が高まり、中国各地では反日デモが起き、日本の企業に大きな被害が出ました。ロシア首相の国後島訪問、韓国大統領の竹島上陸と一気に噴出した国境問題、政府はどんな行動をとるのでしょうか、冷静さが寛容です。
 戦後約70年、今こそ日本人が日本民族としてのアイデンティティをとりもどし、日本の歴史、文化、伝統に誇りを持ち、志を高く生きるきっかけを掴む、掴まねばならないときです。
 ブラジルに住み日本人の血を引く日系コロニアの方々も日本民族としての自信・矜持を持ち続けていただきたいと思います。リオは今年6月にはサッカーのコンフェデレーション・カップ、2014年のワールドカップ、2016年夏季オリンピックと大きな行事が続きます。
 最後になりましたが、みなさまのご多幸とご繁栄を祈念しまして新年のご挨拶とさせて頂きます。