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巳年生まれに聞く=新年の目標はこれ!

ニッケイ新聞 2013年1月1日付け

 巳年と言えば、「執念深い」という印象がある一方で、「即断即決は苦手」だが「奥深い」という性格の人が多いとの話もある。日本の有名人の年男といえば、男性では香取慎吾、古田敦也、本木雅弘、落合博満、北の湖、関根勤、徳光和夫、萩本欽一、年女なら安室奈美恵、小林幸子、竹下景子、岩下志麻、倍賞千恵子、研ナオコ、松たか子など枚挙にいとまがない。さてコロニアではどうか。巳年のみなさんに新年の抱負を聞いてみた。


目指せ! 世界記録=田曽泰三さん(71、広島)、サンベルナルド・ド・カンポ市みずほ村在住、1960年ぶらじる丸渡伯

 「80歳で世界記録を出す」。田曽さんの目標は壮大だ。取り組む競技は、なんと1500メートル走だという。
 40代後半からの20年をデカセギとしてで過ごし、妻が亡くなったことを契機に2009年、日本に渡る前の生活の拠点だったみずほ村に戻った。
 70歳という節目の年を迎えた昨年、「元気に80歳を迎えるにはどうしたら良いか」ということについて真剣に向き合い、出した答えが「世界記録への挑戦」だった。
 「正直に言えば、わかりやすいものであれば競技はどんなものでも良かった。重要なのはいつまでも健康な身体であること。目一杯高い目標を掲げて、それに挑戦し続けること。それが若々しくいるために必要なことだと思って」とはにかみながら話す。
 「昨年は決意の矢先に体調を崩し、今年の3月に手術しなければならなくなった。もう身体の調子も良くなったので、来年が目標への第一歩の年。とりあえず毎日長い距離を歩くことから始めます」。


カラオケを充実させたい=中島スミエさん(83、熊本)、カンピーナス市在住、1959年あめりか丸

 「夫が早くに亡くなって以来30年、女手一つで頑張ってきましたよ」と感慨深げに語る中島さん。サンパウロ州ボツカツ市などでトマト栽培等農業に携わってきた。
 3人の子供を育て上げ、孫9人、ひ孫5人にも恵まれた。「当時は中々大変だったけれど、今は可愛い孫やひ孫らに囲まれて幸せです。苦労した甲斐があったかな」と笑顔。
 隠居後には「のんびり趣味にも取り組んでいます」と言い、日本舞踊暦は14年にも及ぶ。来年の目標として掲げるのが、「まだ始めたばかり」という趣味のカラオケを充実させることだ。得意な曲目は演歌。「たまには大会に出たりして、息の長い趣味にしていければ。さらに楽しむためにも、もっと上手なれるように頑張ります」と意欲的に話すとともに、「自分が人前で歌うなんて若いときは考えもしなかったけど、知人に誘われて始めてみたら案外楽しい。あまり人を気にせず、自分のペースで取り組める。新しい友人も出来たし、言うことなしです」とその魅力を語った。


趣味を増やして頭も元気=餅川孝さん(83、京都)、サンベルナルド・ド・カンポ市、1930年神奈川丸渡伯

 昨年の11月にサンパウロ市であった老人クラブ連合会のカラオケ大会に、息子らとともに家族で弁当ブースを出店していたのが餅川さんだ。
 幼くして両親とともに海を渡り、ボンフィン・パウリスタやサルト・グランデ、ドナ・アメリアなどサンパウロ州各地でカフェや棉栽培に携わり、16歳でサンベルナルド・ド・カンポ市に入った。
 地域でも評判の弁当の販売は、当初養鶏と野菜作りの片手間に手がけるものだった。「美味しいといってくれる人のために頑張っていたら、気付けばこっちが本業になっていた」と笑う。
 それでも来年以降は「弁当屋をたたむことも考えている」という。「まだわからないけど、そうなった場合は新たな趣味を始めたい」というのが新年の目標。「身体とともに頭を健康に保っておかなきゃ楽しい老後にはならない」と話し、友人から誘いを受けている地元老人クラブの書道教室と麻雀会が気になっているのだとか。
 「勿論店を続けることになったらそちらも精一杯やるけれど、やりたいことが多いというのは幸せなことですね」と目を細めた。


健康な身体作りを=伊井一枝さん(71、三世)、サンパウロ市在住

 「ただ健康でいるということが、私にとっては大きな目標です」と話す伊井さん。元々丈夫な方ではなく、50代前半に脳溢血、その10年後には心臓病を患うなど身体面の苦労には悩まされ続けてきた。
 今年は、原因不明の風邪に似た症状と慢性的な神経痛に苦しめられ、日常生活を送ることにも支障をきたした。
 「体調が悪くなり始めたのは今年の5月で、復調するのに10月までかかった。毎年出るカラオケ大会も、回復を願ってエントリーはするものの結局四つ全部キャンセル。辛い日々でした」と伏せ目がちに話し、「この1年は健康であることの重要性を痛感させられる年でした」とため息。
 健康な身体作りのために新たに取り組むこととして「ラジオ体操や健康表現体操を始めたい」と話し、習慣的な運動に意欲を見せた。最後には「地元の日本人会などで折り紙や編み物のワークショップの指導をしたい」との抱負を笑顔で語っていた。


ぜひ子どもの結婚を!=桝永やえ子さん(71、二世)、サンベルナルド・ド・カンポ市在住

 サンパウロ州サンベルナルド・ド・カンポ市に住む桝永さん一家は、50年に渡って自転車修理を営む。70歳を越えた今も事務仕事を手伝うなど、現役として精を出す毎日だ。
 週3回の散歩、2回のピラティス(呼吸法を活用した体操の一種)に励むなど「私自身は健康そのもの」と話すやえ子さんが気になるのは、専ら周囲の人のこと。「同年代でも、この年になると体調を崩す人が出てくる。老人クラブの友人たちに、何か健康へのすすめを提案したいですね」と意気込む。
 ボランティア活動への興味も。「最近ニュースで、幼くして癌を患い、苦しんでいる子供たちが世界に数多くいることを知った。募金など、小さいことでも意識して行動できる1年にしたい」と話した。
 頭を悩ませるのは子供の結婚事情だ。「男2人に女1人の3人が40歳近くになるのに未婚。店を切り盛りする息子らも、看護職につく娘もしっかりした良い子たち。良縁に恵まれるように、色んなつてをたどって身を固めてもらうことが最大の目標ですね」とやる気満々の様子を見せていた。