ニッケイ新聞 2013年1月3日付け
1日に全国5505市で新市長の就任もしくは再就任式が行なわれ、サンパウロ市のフェルナンド・ハダジ新市長(労働者党・PT)らが就任演説を行なった。ハダジ市長は、国との間の負債交渉を行ない、投資に充てることを最優先する意向を明らかにした。2日付伯字紙が報じている。
ハダジサンパウロ市新市長は就任演説で、サンパウロ市が抱える負債は国に対するものだけで500億レアル、総額は市の歳入額の2倍である800億レアルであることを明らかにした。
サンパウロ市が国に払う額は利息だけで年40億レアルになるため、ハダジ市長は国との返済額の見直し交渉を行なうと共に、州や連邦政府、民間企業とも協力してサンパウロ市への投資を増やす意向だ。「サンパウロ市の負債額は完済不能で、将来のサンパウロ市の歩みも危うくなる。今の財政状態では選挙公約も守れない」と新市長は語った。
ジルベルト・カサビ前市長(社会民主党・PSD)は「サンパウロ市には払いきれない借金がある」としていたが、就任式で財政改善を訴えたのはサンパウロ市だけではなく、全国的な傾向だ。リオのエドゥアルド・パエス市長は、市の支出の10%削減と共に都市土地家屋税(IPTU)の値上げなどを行なうことを示唆し、その他の州都の市長たちも役職を20〜30%減らすなどの対策を公言した。
各市長は民間や州の援助に加え連邦政府からの援助も求めたが、それはバイア州サルバドールのアントニオ・カルロス・マガリャンエス・ネット市長(民主党・DEM)のような野党側市長も同様だった。また、ミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテのマルシオ・ラセルダ市長(ブラジル社会党・PSB)は、12年の国内総生産(GDP)が1%の低成長だったことなどが州の財政を危機的状況に陥れることを恐れていると語った。
一方、ハダジ市長はサンパウロ市への抱負として、サンパウロ市のさらなる都市化計画をあげた。目玉となる「アルコ・ド・フトゥロ(未来の弧)」計画は、チエテ川とピニェイロス川、南部のクペセ大通りと東部のジャク・ペッセゴ大通りを結ぶ地帯に新たな住宅地を建設し、住居に近い所での雇用創出も図りたいとしている。
新市長は、サンパウロ市での貧富の差を埋めるため、貧しい人たちに対する保健や教育の環境を改善することも約束した。新市長はこれらの公約を掲げた上で「過去80年間に導入された開発計画は行き詰まっている。サンパウロ市の発展のあり方について、今一度考える必要がある」と語った。
1日はサンパウロ市議会議長の選出も行なわれ、PTのジョゼ・アメリコ氏が55人中51人の票を集めて当選した。現在のサンパウロ市議会でハダジ市長を支持する勢力は40人〜42人とされている。ハダジ市長は、市長選時はジョゼ・セーラ候補(民主社会党・PSDB)の側についていたカサビ前市長傘下のPSD議員8人の支持を得ることに成功しており、同党のマルコ・アウレリオ・クーニャ氏は副議長に選ばれた。