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経済には楽観的なブラジル人=4割が今年は回復と回答=借金漬けの現状の中でも

ニッケイ新聞 2013年1月3日付け

 ダッタフォーリャが12月13日に行なった調査によると、44%の国民は13年の国の経済は回復すると考えており、個人の状態も57%が改善を期待と1日付フォーリャ紙が報じた。
 160市、2588人を対象に行った調査の結果は12年1月とほぼ同じ結果で、12年の国内総生産(GDP)の伸びが11年の2・7%のほぼ3分の0・98%と見られる中でも、将来への期待が継続している事が証明された。ただ、経済減速がいわれ始めた11年6月以降、景気後退から脱却といわれた10年11月や減速化表面化前の11年3月より、楽観的な見方をする人が5%前後減っている。
 今回の調査によれば、楽観的な見方する人が最も多いのは、最低賃金の5〜10倍の所得層の48%。最も悲観的なのは最賃10倍以上の人で、13年経済は悪化と見る人が全体平均の13%を上回る16%いた。
 他方、現状と変わらないという答えは、国の場合で38%、個人の状況で31%。以前のような急速な経済成長は難しくなっている事を見越している人が増えているといえるだろう。
 12年の場合、政府の打ち出す経済刺激策の結果が、国際的な金融危機や景気後退がいわれた時のように数字になって出て来ておらず、国内消費を鼓舞する事で景気浮揚をと考えるジウマ政権の成長政策が、思惑通りに機能していない。
 それを実証するのは、12月30日付エスタード紙が報じた、債務不履行や借金漬けの人増加の記事だ。誰でも簡単に融資が受けられ、ローンの返済期間も急速に伸びた09年〜11年初頭は、購買力以上の物を購入した人達が増え、返済が90日以上遅れる債務不履行は、銀行などの金融機関にも442億レアルの損失を与えた。
 この額は年間のGDPが7・5%伸びた10年の237億レアルの2倍弱で、借金漬けになった消費者の購買力低下は、11年2・7%、12年も1%未満という政府の予想を大きく下回る成長率の原因ともなった。
 中には、月収1200レアルなのに負債が3万4千レアルという例もあり、ローンが払えずに没収されて競売に付された車はここ2年間で20万台という。
 10年からは世界で4番目の車市場となっているブラジルで、これほどの車が競売にかけられている事は驚きだが、5年前の債務不履行は失業が最大の原因だったのに、現在の債務不履行は抑制を欠いた消費癖が原因だというから要注意だ。
 今年のインフレは6%前後だった12年以上と予想する人が44%いる中、「入るを知って出るを制す」の原則を守らなければ、国や個人の経済状況の改善は望めない。