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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2013年1月3日付け

 昨年末に亡くなった遠山景孝さんは本紙の前身パウリスタ新聞のOBだった。百周年委員会の広報担当をされていたこともあり、会合などでよく顔を合わせた。子供のような年のコロニア新参者である記者に対し、いつも丁寧で誠実な対応をされた紳士だった▼新聞社を出られてからも、ブラジル政府などと組んだ広報活動、エスタード紙での日本移民周年企画にも携わった。これからW杯、五輪を迎える。まだまだお互いに知るべき日伯両国間の橋渡しができるノウハウを持った人材だった。まだ75歳と若かった。ご冥福をお祈りしたい▼遠山さんもそうだが、当時は新聞社の呼び寄せによるブラジル移住があった。その数は分からないが、多くの人が新聞社を足がかりに様々な方面に羽ばたいていった。身近な人が実はOBだったりする。若い人がブラジルに来る手立てがなく、慢性的な記者不足の現在から見れば、羨ましい限りだ▼世代は移り、移民が新聞を作った時代は今は昔。1947年のパウリスタ新聞、その2年後に創刊した日伯毎日新聞が合併したのが1998年。つまり今年はニッケイ新聞社が生まれてから15年目にあたる。創刊時の読者数も激減し、経営も厳しいかぎり。しかし新年早々、青色吐息ばかり吐いてはいられない▼様々な企画だけでなく、読者の関心を呼び、コロニアの歴史を残すような紙面を心がけていきたいと思っている。コロニア10大ニュースで企業の進出をトップに上げたが、さらに拍車がかかり日伯関係の深化する1年に、そして読者のみなさまにとってよい年であることを祈りたい。本年もよろしくお願いします。(剛)