ニッケイ新聞 2013年1月4日付け
メンサロン事件公判で組織犯罪や贈賄などで有罪となったジョゼ・ジェノイーノ元労働者党(PT)党首が2日、下院議員就任のための書類を議会に提出した。同氏の議員就任については、刑の執行の問題もあり動向が注目されていた。3日付伯字紙が報じている。
ジェノイーノ氏は2010年の下院議員選挙で第2補欠となっており、サンパウロ州サンジョゼ・ドス・カンポス市長となったカルリーニョス・アルメイダ下院議員の空席を第一補欠のヴァンデルレイ・シラケ氏が埋めた後、シラケ氏が埋めていたアウド・レベロ・スポーツ相の空席を埋めることになる。同氏の下院議員就任は1982〜02年、07〜10年に次ぐもの。
だが、ジェノイーノ氏は昨年のメンサロン事件公判で、ジョゼ・ジルセウ被告らと共に、メンサロン事件を計画、実行したPT幹部として懲役6年11カ月の実刑判決を受けている。
同事件ではジョアン・パウロ・クーニャ下議など3人の現職議員も有罪となったが、これらの議員の処遇をめぐり、「有罪となった時点で議員職を罷免とするか否か」で世論が割れ、最高裁は即座に議員職を罷免すべきとの判決を下した。それに対し議会側は、「議員の処遇を議会が決められないのは三権分立の原則に反している」と強く反発していた。
他方、刑執行を急ぐロベルト・グルジェル連邦検察庁特捜局長は12月19日に最高裁に即時の刑執行を求める訴えを起こした。最高裁が休廷中のため、訴状はジョアキン・バルボーザ最高裁判事が1人で判断し、同22日に「弁護側の上告がなくなった時点での刑執行」と決めたため、即座の刑執行は見送られた。
ジェノイーノ氏は2日に娘のマリアナさんとブラジリアの議会場に姿を現した。報道陣とは「3日の就任式後に話す」つもりだったが、議会を出る際、しつこく迫る記者に「現代の拷問者」と怒鳴った。同氏は昨年10月の全国市長選1次投票の際、報道関係者の中には「人の神経を苛立たせる拷問者」がいると話していた。繰り上げ当選の議員全14人の就任式は3日の午後3時から行なわれた。
ジェノイーノ氏の任期はメンサロン裁判で有罪となった被告の上告がなくなって刑が執行されるまでだが、側近によると、同氏は最低でも1年の任期を務めるつもりのようだ。同氏の執務室は元議長クラスの議員の入る一角にあり、通路を挟んだ反対側にジョアン・パウロ・クーニャ氏の執務室もある。なお、ジェノイーノ氏の刑期は8年以下のため、刑執行後も昼間の外出が許可されるセミ・アベルトとなる。