ニッケイ新聞 2013年1月8日付け
政府が2012年の公的財政の基礎収支(国と州と市の収支)の黒字額を調整するために、年末に非常時用のファンドから120億レアルを取り崩していたことが明らかとなった。4〜5日付伯字紙が報じている。
12年の基礎収支黒字目標は、国内総生産(GDP)の3・1%に当たる1398億レアルだったが、11月末までの黒字収支は827億レアルで目標額を571億レアル割り込み、2003年のルーラ前大統領就任以降の労働者党(PT)政権下ではじめて目標額を下回るのではとささやかれていた。その後、年末までに黒字額は増やしたものの、それでも目標到達に380億レアル届かない状態だ。
政府は基礎収支の黒字を少しでも目標に近づけるため、少なくとも256億レアル分は成長加速プログラム(PAC)の経費として差し引く意向だが、12月の最終週は284億レアルをPACに投入しており、この額はさらに膨らむ可能性がある。
そして3日、連邦政府は12月中に194億レアルの追加黒字が加わったことを急遽発表し、政府目標の帳尻を合わせる形となった。
この194億レアルの入金の大半は、2008年に国が非常事態におけるポウパンサとして設けたブラジルソブリン・ファンド(FSB)からの124億レアルだ。同ファンドは150億レアルを保有していたが、その約80%に相当する124億レアルが、創設以来、初めて取り崩された。
情報筋によると、このFSBの取り入れは、年末もかなり押し迫った時期に行なわれたという。政府は12月28日に社会経済開発銀行(BNDES)に許可を与えて、同ファンドにあるペトロブラス社の株90億レアル分を買い取らせ、88億レアル分が12月31日付で政府の国庫に入金された。ソブリン・ファンドに残っているペトロブラス社株約30億レアル分も移管される。
また、その他の70億レアルは、連邦貯蓄銀行(CAIXA)とBNDESからの配当金の前倒しだ。そのために、CIXAはBNDES出資会社(BNDESPar)所有の民間4社の株などを買い取った。内訳は食肉業のJSB社株18億レアル、製銅業のパラナパネマ社株2億6千万レアル、自動車部品製造のロミ社株2500万レアル、鉄鋼業のマンジェルス社株427万レアルで、このほかにもペトロブラス株31億5千万レアル、Vale株4億4690万レアルなど、総計60億レアルのBNDESPar資産がCAIXAの資産となった。
基礎収支は国債の利息支払いなどに当てられ、経済基本金利(Selic)が引下げられた時点で黒字目標が達成できなくても支障は少ないと見られていたが、年末ぎりぎりの経済操作で財政管理への信頼が揺るぐの懸念の声も出ている。