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大統領再任問題=ブラジルはチャベス陣営支持=半年の一時不在置く前提で=憲法上は副大統領権限なし

ニッケイ新聞 2013年1月9日付け

 癌手術後の容体悪化で10日の大統領就任式出席が絶望視されるベネズエラのウーゴ・チャベス大統領について、ブラジル政府は7日、ベネズエラの憲法が定める最大180日間の〃一時不在〃を宣言すれば再任延期は可能で、その際の大統領代行はニコラス・マドゥーロ副大統領がふさわしいとの見解を示した。8日付伯字紙が報じている。
 キューバのハバナで療養中のチャベス大統領の事情を知るため、ジウマ大統領はマルコ・アウレリオ・ガルシア大統領府外交顧問を12月31日にハバナへ派遣した。ガルシア氏はチャベス大統領に会えなかったが、マドゥーロ副大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長に面会し、大統領の容体はかなり重く、10日の就任式への出席は絶望的との見解に至った。
 このような状況下、チャベス陣営は再就任を無期限に延期し、その間の任務代行をマドゥーロ副大統領に行わせたいとしている。
 同国憲法231条では大統領の就任は1月10日と定められ、233条は、死亡や辞任、最高裁が任務遂行は不可能と認定するなどで恒久的不在となる時は、30日以内に再選挙を行うとしている。234条によれば、議会が承認すれば90日の〃一時不在〃が認められ、再延長つまり最大180日までの不在期間を置くことができるが、それを過ぎると再選挙を行わなければならない。
 マドゥーロ副大統領は1月10日という日付は〃形式的なもの〃とし、延期を図ろうとしているが、野党側は憲法違反と反論。マドゥーロ氏が実権を握ることも、野党側は「憲法では一時不在中の大統領代行は下院議長がつとめる」とあり、無効としている。また、同国検察庁長官は全閣僚の任務継続を宣言したが、野党側は、副大統領をはじめとした閣僚職は大統領が任命したもので、大統領の任期が切れる1月10日以降の職務執行には大統領による再指名が必要と主張している。
 この件についてガルシア氏は「新大統領の就任ではなく、これまでの大統領の再任だから政権が途絶えるわけではない」とし、マドゥーロ副大統領の大統領職代行を支持した。ガルシア氏の発言は、ベネズエラ憲法に則り最大180日の不在期間を施行することを前提としている。ガルシア氏は、10日に野党側がクーデターを行う危険性も否定している。
 ブラジルでは1985年、タンクレード・ネーヴェス大統領が就任前夜の3月14日に入院し、4月21日に死亡した例がある。大統領就任式を行えないまま、副大統領に就任したジョゼ・サルネイ氏が大統領職を代行、継承したが、これは合法的なものであった。