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連邦検察庁=ルーラへの捜査を開始=ヴァレーリオの証言鑑み=元側近企業への入金疑惑など=既に年末から検察官動く

ニッケイ新聞 2013年1月10日付け

 連邦検察庁のロベルト・グルジェル長官が、メンサロン事件で有罪判決を受けたマルコ・ヴァレーリオ・デ・ソウザ被告の証言に基づき、ルーラ前大統領(労働者党・PT)の捜査を行なうよう要請した。9日付エスタード、フォーリャ両紙が報じている。

 グルジェル長官が前大統領の調査開始を決めたのは、メンサロン事件の主犯の1人でミナス・ジェライス州の企業家であるヴァレーリオ被告が、12年9月24日に検察庁で行なった証言を明らかにするためだ。
 ヴァレーリオ被告の証言は9項目、13ページの調書にまとめられた。ルーラ氏に関するものは三つで、最も注目されるのは、2003年にルーラ氏が大統領に就任した直後、ルーラ氏の「個人的な支出」をまかなうための資金を、「ルーラの何でも屋」を自称する元側近のフレウジ・ゴドイ氏の企業の口座に振り込んだというものだ。
 この件に関しては、メンサロン事件発覚のきっかけとなった郵便局の不正事件をめぐる議会調査委員会が2005年に行なった調査で、2003年1月21日に、ヴァレーリオ被告の会社、SMPBから9万8500レアル振り込まれていることが判明している。ゴドイ氏は当時、その金は「2002年の大統領選挙の時に行なった仕事への報酬だ」として、疑惑を否定していた。
 この他にも、03年初頭にメンサロン計画の仕掛け人のジョゼ・ジルセウ氏が、同計画用の資金を農業銀行からの借り受けたいと報告し、ルーラ氏がそれを許可したこと、ルーラ氏が第一次政権の際に当時のアントニオ・パロッシ経済相と共にポルトガル・テレコム社のミゲル・オルタ氏と会談し、同社がPTの口座に700万レアルを振り込むことを決めたという証言がなされている。
 グルジェル長官は、メンサロン事件の公判中にこの証言が明らかになれば、裁判の基本となる調書の内容が変わって公判が長引くと考え、即座の公表を控えたが、12月11日付エスタード紙などが内容を報道。ジョアキン・バルボーザ連邦最高裁長官も捜査を進めるよう要請していた。
 9日付伯字紙によると、グルジェル長官は現在休暇中で、それが開けた来週にも調査を本格化させる意向だ。12年年末には検察庁副長官の一人であるクラウジア・サンパイオ氏と第1地方区検察官のラケル・ブランキーニョ氏にヴァレーリオの証言に基づく捜査をはじめさせている。
 ルーラ氏は既に裁判特権を失っているため、ブラジリア、ルーラ氏の拠点のサンパウロ州、ヴァレーリオ氏の拠点であるミナス・ジェライス州の連邦検察局での捜査が可能だ。
 グルジェル長官はヴァレーリオ被告は「賭け師だ」としながらも、証言内容についてはきちんと調べる必要があると判断をしている。また、ルーラ氏を起訴するか否かに関する判断は今後の捜査の結果待ちで、決定的な証拠があがらなかったときはお蔵入りとなる可能性も消えてはいない。