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チャべス=ベ国最高裁が就任延期容認=「一時不在は大統領権限」とも=ジウマは「民主主義を信じる」と

ニッケイ新聞 2013年1月11日付け

 ウーゴ・チャベス大統領が癌の闘病で10日の大統領再任式に出席できなくなったことで、政権の行方が注目されていたベネズエラで9日、最高裁が同大統領の再任を正式に認め、就任式は無期限延期となるなど、チャベス陣営の思い通りの結果となった。10日付伯字紙が報じている。
 チャベス大統領は、12年10月7日に4度目の大統領当選を果たした後に持病の癌が悪化。12月11日にキューバのハバナで再手術を受けたが容態悪化のため、ベネズエラの憲法231条に定められていた「1月10日の就任」が不可能となっていた。
 チャベス陣営はこの期日を「形式的なもの」と解釈し、これを無期限延期した上で、ニコラス・マドゥーロ副大統領に大統領職を代行させる意向を見せていたが、同国の憲法234条では、大統領が職務を執行できない事態が生じた場合は、最大180日間の「一時不在」を認め、この期間を過ぎても大統領が復帰できない場合は再選挙を行なわなければならないとなっている。また、一時不在の際の代行は副大統領ではなく下院議長とも定められている。
 これに対し、ルイーザ・エステラ・モラエス最高裁長官は9日、「10日に就任式を行なわなくても政権を揺るがすことはない」との判断を下し、さらに「一時不在の要請は大統領自身が行なうものだ」とし、大統領本人の意向がない限り、一時不在は適用されないとした。
 これでマドゥーロ副大統領が代行を行なうことは法的に認められた。だが、憲法233条では、大統領が6年ある任期のうち、最初の4年の間に死亡したり辞任したりした場合は30日以内に大統領選挙が行われることになっている。
 マドゥーロ副大統領は9日、ジウマ大統領に電話をかけ、最高裁の判断の内容を伝えたが、その際のジウマ大統領は「ベネズエラの民主主義とその発展を信じる」と伝えたという。外務省でベネズエラ問題を担当したこともあるルーベンス・リクペロ元大使は、「最高裁の判断という形を経たことで民主主義の原則が保たれた」と評価した。
 だが、野党側や反チャベス派は一様に反対の立場を示した。反チャベス派の新聞「エル・ウニベルサル」は「2003年以降、最高裁が政府に不利な判決を下したことはない」と報じた。また、昨年の大統領選挙を野党連合候補として戦ったエンリケ・カプリレス・ミランダ州知事は「現政権は不安定な砂の上に建っている」と発言、チャベス氏以外には真のリーダー不在で、閣僚への国民の評価が低い現状への懸念を表明している。