ニッケイ新聞 2013年1月12日付け
2012年の国内総生産(GDP)が1%の低成長の一方、インフレ率は5・84%と、3年連続で政府目標の4・5%を上回ったことが明らかとなった。11日付伯字紙が報じている。
ブラジル地理統計院(IBGE)が発表した拡大消費者物価指数(IPCA)によると、2012年の年間インフレ率は5・84%。航空料金の26%値上りなどで、12月のICPAが前月比0・19%ポイント増の0・79%で終わったことが大きく影響した。月間0・79%という数字は2011年3月以来、12月の数字としては2004年以来、最も高いものだった。
12年のインフレ率はこの3年では最も低い数字ではあったが、政府が目標とする年間インフレ率の4・5%は上回っており、3年連続で目標が達成できなかった。政府目標はプラス2%(6・5%)までを許容範囲としているため、数字の上では許容範囲を守ったといえるが、エスタード紙によると、2011年までのインフレ計測基準で見た場合は6・54%になっていたという。
GDPが低成長の時のインフレ率は高くなりにくいのが通常だが、低成長の最中に高いインフレ率を記録したことは不安材料となる。
また、12月のIPCAが高めに推移したことで、2013年第1四半期のインフレも数値が高くなることが予想され、13年のインフレ目標に大きなプレッシャーがかかることにもなる。
12年1年間で見た場合、インフレ上昇が最も顕著だったのは「家庭内労働者」の12・73%で、以下、「家賃」8・95%、「外食費」8・59%、「授業料」8・35%、「保健プラン」7・79%となっている。食料品では、マンジョッカ、フェイジョン、ニンニク、卵、鶏肉、フランス・パンなどの値上りが目立った。
12年には、経済基本金利(Selic)が8%になった時点で変動金利となる新たなポウパンサが設けられたが、現在の基本金利は7・5%まで下がっており、低い利率と高いインフレに相殺され、最も条件が良くなったポウパンサ預金ですら利益が出ないという現象も起こっている。
経済の専門家たちの分析によると、13年のインフレ率は、電気代の値下げや食品価格の安定から推測して5〜5・4%で推移すると見られている。だが、その一方で、ガソリンやディーゼルの値上げが予想されるため、電気代などの値下げも相殺されるのではとの見方も出ている。