ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | ガソリン代7%値上げへ=ディーゼルは4〜5%=今回は消費者価格も上昇=インフレ圧力軽減策は?

ガソリン代7%値上げへ=ディーゼルは4〜5%=今回は消費者価格も上昇=インフレ圧力軽減策は?

ニッケイ新聞 2013年1月17日付け

 2005年以降、消費者価格が据え置き状態だったガソリンが、1月中に7%値上がりする見込みで、政府がインフレ圧力軽減のための対策を検討中と14、15日付エスタード紙が報じた。

 国内総生産(GDP)の成長率以上に消費が拡大したりして輸入も増加したガソリンが、久々に消費者価格での値上がりを見る事になった。値上げ幅はガソリンが7%、ディーゼルが4〜5%と見られており、インフレへの影響を少しでも小さくするための対策が検討されている。
 ガソリンやディーゼルの価格調整は、昨年上半期にペトロブラスが2012〜16年の事業計画を発表した時にも必要と言われていたが、政府側がその要請に応えないまま年を越した。
 他方、GDPの成長率が1%前後と見られている12年度も、ガソリンの消費量は推定で6・3%程度拡大しており、需要に応じるためにペトロブラスが輸入した量も増大。輸入登録は荷降ろししてから50日以内に行えばよいため、12年度の貿易収支は黒字で推移したが、国内でのガソリン販売が国際価格以下の値段で行われている現状は、ブラジル貿易にもペトロブラスにも大きな負担となっていた。
 エスタード紙が報じた調整率はフォーリャ紙が昨年10月に報じた12〜15%という予想以下だが、今回は、精製所から配給業者への売り渡し価格が上がっても減税処置によって消費者価格に響かないようにするという従来のやり方が使えず、値上げ分が即、消費者価格に反映される。
 ただ、インフレ傾向が強まる中でのガソリン値上げは、政府の公式インフレ指数である拡大消費者物価指数(IPCA)を0・28%ポイント程度押し上げると見られ、今年のインフレも目標上限に近くなるとの予想が出ている中での消費者価格値上げは極力抑えたいところだ。
 現在予想されているインフレ圧力軽減策はエタノール混入率を20%から25%に引き上げるというものだが、同案は、気候変動に伴う国際的な砂糖価格の上昇などで国内のエタノール生産が減少した事もあって一度頓挫した事もある上、サトウキビの収穫期まで採用出来ない案でもある。
 ギド・マンテガ財相は休暇中で、調整率やインフレ圧力軽減策の確定と発表は来週以降となる。エタノール混入率を引き上げる場合、ガソリン代は一時的に7%値上がりした後に再調整される可能性が高い。
 政府は昨年、エタノールの安定供給に向けた設備改善などのために同業界向けの社会経済開発銀行(BNDES)の融資枠を40億レアルに拡大したが、実際の利用は14億レアルのみだった。今回は同業界への社会統合基金と社会保険融資納付金PIS/Cofins)減額導入案も出ており、ガソリン値上げでエタノールの需要が増え、業界に活気が戻ればとの希望的観測も広がっている。