ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 「支持政党なし」56%=25年前は38%だったが=「PTへの幻滅」大きく

「支持政党なし」56%=25年前は38%だったが=「PTへの幻滅」大きく

ニッケイ新聞 2013年1月22日付け

 現在のブラジルでは、特定政党を支持しない層が1988年以降で最多となっていることが世論調査で判明した。20日付伯字紙が報じている。
 ブラジル世論調査統計機関(Ibope)は1988年から「あなたはどの政党を支持するか」というアンケートを行っているが、2012年10月の最新アンケートでは、「どの政党も支持しない」が調査開始以来最高の56%に達していたことがわかった。
 政党支持率が最も高かったのは労働者党(PT)の24%だが、同党も2007年5月の調査で33%を記録した後は下り坂。以下、民主運動党(PMDB)が6%、民主社会党(PSDB)が5%で続いている。
 この調査結果に対し、政治評論家のマルコ・アントニオ・テイシェイラ氏は「社会主義の崩壊以降、政党が必ずしもイデオロギーそのものを象徴するといえなくなった」とし、支持政党を持たない人が増えた状況を世界的な現象とした。〃ベルリンの壁〃崩壊前でブラジルが民主化して間もなかった88年6月の調査では、支持政党を持たない人は38%だった。
 また、支持政党離れには、PTに対する幻滅の大きさも影響とする声もある。88年当時の支持政党トップは70年代に唯一の軍政への対立野党だったPMDBだが、サルネイ政権への失望が強くなった90年代以降、PTが急接近。2000年代以降はPTが圧倒的に高い支持率を維持していたが、メンサロン事件の発覚後、世間では「結局、PTも昔ながらの古い政党と変わらなかったか」という失望が大きいという。
 それでも、07〜10年の調査では、メンサロン事件発覚後に急落した支持率が07年から上昇に転じ、10年3月にはルーラ政権発足時の2003年3月の調査に並ぶ過去最高の33%の支持を獲得していたが、「この当時はGDP(国内総生産)が急成長を見せていたこともあり、ルーラ政権への支持率が上がっていた」とテイシェイラ氏は分析する。また、PTそのものの人気も、〃ルーリズモ〃と呼ばれるルーラ氏そのものの人気が、PTの政党イデオロギーに勝っていたのでは、とエスタード紙は推論する。
 なお、サンパウロ州やミナス・ジェライス州を中心に南東伯で支持を得ているPSDBは、カルドーゾ大統領時代に14%あった同地での支持率が12年調査では7%に半減している。だが、「月収が最低賃金の10倍以上の層」に限って言えば、PSDBの支持率は過去最高の23%で、13%のPTを上回っている。