ニッケイ新聞 2013年1月23日付け
「優美&喜楽ショー」は午後2時ピッタリに始まった。しかも満員! 日舞が中心にも関わらず、演者の平均年齢が20代後半という初々しさに加え、舞台装置が文字通り〃光って〃いた▼背景と両脇に、演者を囲むように設置された電光パネルに日本的な美しい風景が映し出され、その映像の中で踊っているような心象を与える。それもあって曲ごとの印象が大きく異なり、「同じような踊りが延々と続く」感じがしない▼聞くところによれば舞台装置の賃貸料だけで約2万レアルとか。採算抜きで「良いものを見せたい」という想いがこのショーを作ったのだろう。芸能界の重鎮 ・島田正市氏も「コロニアの催しであれを使ったのは初めてじゃないか」とし、「視覚から受ける印象の60%は歌や踊りではなく背景に左右される。だから舞台装置にはそれだけ金を掛ける価値がある」と感心しきり▼ロンドリーナのグルッポ ・サンセイが若者中心で独創的な芸能活動をし、マツリダンスをブラジル人に広めているように、「優美」もコロニアに閉じ篭らない、ブラジル人向けに開かれた活動を展開してほしいと期待する▼以前から夢想しているが「優美」のような日舞、歌謡、和太鼓、YOSAKOIソーランなどを定期的に見せる劇場型レストランができないものか。サンバショーを見ながら会食できるリオの観光施設は有名だが、その東洋街版だ▼「サムライの夜」として剣劇を見せ、着物ショーを兼ねた日舞「芸者の春」とかきっとブラジル人観光客が殺到する。秋葉原のようにアニメのコスプレやロリータ・ファッションで給仕しても面白い。そんな場から日伯融合型の新しい食や芸能が生まれるかも。(深)