ニッケイ新聞 2013年1月24日付け
フェルナンド・ハダジサンパウロ市市長(労働者党・PT)が選挙公約で掲げたビレッテ・ウニコ・メンサル(定期券)が、今年後半には導入される運びとなったと、23日付伯字紙が報じている。
ジルマル・タットサンパウロ市交通局長(PT)によると、定期券希望者のインターネット登録は4月にはじまる予定だ。名前と納税者番号(CPF)を登録後に届く定期券は、一定金額を払えば30日間は乗り放題となる。
選挙公約での1カ月分の支払額は140レアルで、現行料金ならバス46回分の利用料金とほぼ同じ。バス通勤で24日以上働く人などは、現在より有利となる。
定期券は、残高から使用料金を差し引いていく現行のビレッテと違って乗り放題となるため、自動改札機の交換が必要となる。市は、従来の機械にかざすタイプから指紋読み取り機能付きのものへの変更を考えている。これは、定期券の盗難や、定期券を複数の人に使わせて金を稼ぐといった犯罪を防ぐためだ。
新システム導入には自動改札機の交換も含めた作業を行う企業を選ぶための入札が必要だが、入札や購入希望者の登録、システム導入のすべてが予定通りのペースで進むかは疑問が残る。
また、従来型ビレッテ同様、地下鉄公社やパウリスタ都電公社(CPTM)との連動も必要だ。現在は、3時間以内4回までのバス乗り継ぎと、地下鉄、CPTMの乗車1回分が3レアル、バスと地下鉄かCPTMへの乗り継ぎが4・65レアルだが、定期券導入後の乗り継ぎ料金などに関しては、州政府との交渉がまとまっていない。地下鉄とCPTMは4月、サンパウロ市のバスは6月に料金改定の予定で、フォーリャ紙は地下鉄やCPTMと乗り継ぐ場合の料金は月280レアルという話も出たと報じるなど、不確定な要素が残っている。
市の計算では、定期券の導入で生じるバス会社などへの補助金は年4億レアル以下というが、マルタ市政(PT)下の04年に導入されたビレッテ・ウニコは、年2億レアルの損失を交通機関にもたらすとして野党の反発を招き、今年の補助額も6億6千万レアルと見積もられている。
定期券構想の発表はハダジ市長とジェラルド・アウキミンサンパウロ州知事(民主社会党・PSDB)の初会合の場を利用したもので、1時間半の会合には州と市の局長各10人も参加した。会合では、サンパウロ市の保育園20軒増設に州が4600万レアル援助、サンパウロ州都市住宅開発公社(CDHU)の事業の一環でサンパウロ市に2230軒の住宅建設、防犯のための照明の設置と軍警の増強、洪水対策用に市東部のプロフェッソール・ルイス・イナシオ・デ・アニャイア・メロ大通り沿いに貯水池建設などの協約が確認された。
交通問題では、市東部を通りABC地区からグアルーリョスまでを結ぶ幹線道ジャク・ペッセゴに1375億レアルかけたバス専用レーンを建設することを確認した。