ニッケイ新聞 2013年1月31日付け
上院議長選の最有力候補のレナン・カリェイロス上院議員(民主運動党・PMDB)が連邦検察庁から起訴された上、数々の汚職が指摘され、同党下院議長候補のエンリケ・アウヴェス下院議員共々、波紋を投げかけている。25〜20日付伯字紙が報じている。
下院議長の有力候補であるアウヴェス下議が、北大河州の事業費として連邦政府から同州各市に払われた資金を同氏の部下の関連企業に横流しさせたとの疑惑は16日付本紙で報じたが、今度は上院議長候補のスキャンダルが浮上している。
27日付エスタード紙は、検察庁が25日にレナン氏を起訴したと報じた。これは07年に発覚した、恋人のジャーナリストとの間に出来た息子の生活費などをロビィストに払わせていた件に対するもので、これが原因で同氏は05年から2期連続つとめるはずだった上院議長を辞任した。
こうしたいきさつにも関わらず、PMDBと連邦政府はレナン氏の上院議長選立候補を「問題なし」とし、2月1日の議長選挙に立候補する見込みとなっていた。
だが28日付エスタード紙は、この10年間の上院は、レナン氏とジョゼ・サルネイ元大統領、ガリバウディ・アウヴェス上議のPMDB議員が議長を持ち回っており、この間に上院の人件費が57%増えたと報道。この数字は無試験採用の職員が741%増えたことにも関連しており、下院の38%や連邦政府の45%を大きく上回っている。同紙は、過去13人の上院議長のうち、PMDB以外の議長は1人しかおらず、議会が同党による占拠で腐敗していることを示唆した。
この報道の同日、野党最大党の民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネーヴェス上議はレナン氏の上院議長立候補辞退を求めた。また、アエシオ氏同様、14年の大統領選出馬が噂されるブラジル社会党(PSB)のエドゥアルド・カンポス党首も「今の党の実力でPMDBがなぜあんなに幅を利かせ続けるのか」と、同じ連立与党の立場での批判を展開した。
レナン氏への疑惑は続き、28日付フォーリャ紙は、自由社会党(PSOL)上院議長候補のランドルフ・ロドリゲス上議が、レナン氏がカショエイラ事件議会調査委員会(CPI)の報告書の内容をうやむやにすることで、委員たちから議長選の票取り付けを図ったと証言した記事を掲載。
翌29日付フォーリャ紙はレナン氏とアウヴェス氏が、2011年に元連邦道路警察理事のエリオ・デレンネ氏を国家陸路輸送庁(ANTT)理事に据えようとしたことなどを報道。30日付同紙は、両氏が05〜07年、議会での支持取り付けを条件に、与党議員が軍政時代に受けた迫害への賠償金請求審査を早めるよう、恩赦委員会に手を回したとも報じた。
29日、ロベルト・グルジェル検察庁長官はレナン氏への起訴が25日に行われたことは「上院議長選とは関係ない」とし、起訴が正当なものであるとした。