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ガソリン代遂に値上げ=ディーゼルも足並み揃え=ペトロブラスやっと一息

ニッケイ新聞 2013年1月31日付け

 ガソリンとディーゼルの出口価格が30日午前0時から6・6%と5・4%値上がりし、消費者も値上げを実感と30日付伯字紙が報じた。
 ギド・マンテガ財相が休暇から戻ったら即刻発表と思われていた燃料価格の調整は、電気料金の値下げ発表から一呼吸置き、当初の予想より1週間遅れで発表された。
 今回の値上げは、2012年中にペトロブラスから出されていた15%の価格調整要求に応えたもので、精製所から配給会社に渡される出口価格の調整としては、12年6月25日の7・83%値上げに次ぐものだ。
 ただ、12年6月の値上げと違うのは、今回は連邦税引き下げという形での微調整が出来ず、出口価格の値上げが消費者価格の値上げにもほぼ直結する事だ。消費者価格の値上がりは、2005年以来初めてとなる。
 ペトロブラスが燃料費の15%調整を要請したのは、国際的な原油や派生品価格と国内で販売する派生品価格の差が大きくなっていたためで、国内外の価格差による減収は2012年に167億レアル。2003年以降の累積では307億4千万レアルとなっている。
 この減収は当然の事ながらペトロブラス全体の財力をそぎ、投資に回す資金の不足もきたしていた。岩塩層下の軽質油田発見でもてはやされたブラジルが、燃料不足で輸入を増やさざるを得ず、貿易収支の悪化まで招いた背景には、設備投資の遅れその他で海底油田の原油採掘が思っていたペースで進まなかった事や製油所の建設が遅れた事などが影響している。
 ペトロブラスは今回の値上げで一息つき、今年中の再調整は不要と見られているが、政府としては、値上げ分が消費者にそっくり転嫁され、インフレ高進に繋がる事は避けたいところ。ガソリンへのエタノール混入率を現行の20%から25%に引き上げる事は既に決まっているが、実施はサトウキビの収穫が始まる上半期末以降となる。
 もう一つ考えられるのは、ガソリンやディーゼル、エタノール製造企業への社会統合基金(PIS)と社会保険融資納付金(Cofins)の引き下げで、現在、政府の経済スタッフが調整率を検討中だ。
 ペトロブラス側は中長期的な国際価格の動きに合わせた燃料価格の調整が出来たとし、今回の調整では国内外の価格差による損失はカバーしきれないものの、プロジェクトと投資の継続は保証すると発言。インフレを加速させずに経済を加速させなければならない政府の意向が、発表のタイミングや調整率にも如実に表れているといえよう。