ニッケイ新聞 2013年2月2日付け
2012年の失業率が2003年以降の10年で最低となる一方、平均給与は2004年以来最高となったことがわかった。1日付伯字紙が報じている。
12年の国内総生産(GDP)の成長が約1%と低調に終わったにも関わらず、失業率は減少を続けている。地理統計院(IBGE)の発表によると、2003年は12・4%だった失業率は年々減少。12年の失業率は11年を0・5%ポイント下回る5・5%になった。
12年は食品の加工生産、衣服製造、自動車生産など、工業部門の雇用が滞ったが、商業部門の雇用は活発に行われた。部門別に見ると、建設業で4・6%、教育や保健部門で4・1%、宿泊や清掃業などのサービス部門で2・5%の雇用の増加が見られた。
また12年12月の失業率は、わずか4・6%で、IBGEが現在の基準で失業率の集計を始めた2003年3月以降で最低の数字となった。一般的に12月はクリスマス休暇などが入る関係で求職者が減るために失業率が下がるが、1月はクリスマス商戦で臨時雇用された労働者の解雇などで失業率が高くなる。
また、平均収入が前年比で4・1%上がり、2004年以降で最高となったのは、解雇に伴う費用が高いことと専門技術を擁する人材の不足を嫌った企業が、支出減と人材確保のために給与をあげたりした結果だ。
また、親と同居する大学生、もしくは一家の長ではない若者が、家族に高収入が入ることで就職せずに学問を続けたり、家事を行ったりすることで、職を探す人が減ったのも失業率の低下を招く要因のひとつにあげられる。そうでなくても、現在のブラジルでは少子化がはじまり、労働力の新規参入が減少傾向にある。
また、全国の主要都市別に見た場合、12年に失業率が最も低かったのは南大河州ポルト・アレグレの4%で、逆に最も高かったのはバイア州サルバドールの7・2%。サンパウロ市はペルナンブーコ州レシフェと並ぶ6%だった。だが、同じ失業率でも、サンパウロ市の平均給与が1908・01レアルなのに対し、レシフェが1312・95レアルなど、収入格差の問題は依然として残る。
応用経済研究院(Ipea)のガブリエル・ウリッセア調査員は、失業率が完全雇用に向けて減り続けることが、ブラジルの景気活性につながるという見方を示しているが、IBGEのシルマル・アゼレード・ペレイラ調査員は、地方による格差などもあり、完全雇用は難しいとしている。