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アウヴェス下院議長=議員罷免で最高裁と対立か=「議員のことは議会で」=新下院役員間では意見様々

ニッケイ新聞 2013年2月6日

 エンリケ・アウヴェス下院議長(民主運動党・PMDB)選出に続いて選ばれた下院の新執行部が、最高裁が下した「メンサロン裁判で有罪判決を下された議員は自動的に議員職を罷免され、議会はそれを公式に宣言する」との判決に従わない可能性があると、5日付伯字紙が報じている。
 最高裁は12年12月17日、メンサロン裁判で有罪判決を受けた元下院議長のジョアン・パウロ・クーニャ下議(労働者党・PT)や繰り上げ当選のジョゼ・ジェノイノ下議ら、計4人の連邦議員に対し「有罪判決を受けた時点での議員職罷免」の判決を下した。
 アウヴェス氏は、この判決に対する反論者として知られていた。同氏は1月にも「議員の罷免を決めるのは議会」との見解を示していたが、4日も「議員の罷免を決めるのはここ(議会)だ。国民からの支持を得た議員の進退を決めるのは、同じように国民から選ばれた議員が行うべきこと」と改めて強調した。
 この見解は前任者のマルコ・マイア氏(PT)と軌を一にする。マイア氏は4日の議長退任演説で「最高裁がいかにも活発かつ妥協はしないという態度をとり続けているのは非常に心配」で、司法は「周囲の声に流された法の解釈を行っている」との考えを示した。さらに「議会がやってきた事を正しく伝えずに批判ばかりし、議会への信用を失わせるよう仕向けている」とマスコミを批判した。
 だが、新たに執行部に選出された議員は、新議長と必ずしも同見解ではない。第1書記のマルシオ・ビタール氏(民主社会党・PSDB)や第3書記のマウリシオ・キンテラ氏(PR・民主党)などの野党議員は「最高裁に従うべき」との見解を示している。他方、第1副議長でPTの広報担当のアンドレ・ヴァルガス氏は「議員を罷免するためには、監査会、倫理委員会、本会議を経るべきで、本会議での投票も無記名で行うべき」で、「この手続きは議会の運営基準に従ったもの」との見解を示している。
 一方、4日の議会に出席したジョアキン・バルボーザ最高裁長官は、「法律に関することは、いったん司法側が判決を下したならば、最終的な決定権も司法側にある」との見解を示した。
 メンサロン裁判の有罪議員の罷免は、被告側からの上告が完全になくなり、全員の刑が確定した時点から有効になるとされている。
 レナン上院議長と共に最高裁長官を見送ったアウヴェス下院議長は、バルボーザ長官に「最高裁とは調和を保って行きたい」と発言している。