ニッケイ新聞 2013年2月6日
文協に久々の大型寄付——。サンパウロ市文協ビル事務局で4日、木多喜八郎文協会長、山下譲二副会長、在伯ジャーナリストの日下野良武氏による記者会見が行われ、日本の情報機器専門商社「大塚商会」の創業者、大塚実名誉会長(90、栃木)から文協に対し、1億円(約250万レ)の寄付が決まったことが発表された。日下野氏が、昨年5月に講演を行った世界一周豪華客船『飛鳥Ⅱ』で大塚名誉会長と知り合ったことがきっかけ。木多会長はビル内施設などの改装に使うことを明らかにし「心から感謝している。寄付金が振り込まれた翌日から作業が始められるように早急に準備を行っていく」と力を込めた。
ブラジル、日本移民、日系社会などについて講演を終えた日下野氏に「日本で一度話がしたい」と声がかけられた。
サントス寄港時に、バスツアーで東洋街、移民史料館を訪れた大塚氏は「移民の歴史に大きな感動を覚えた」という。
昨年11月に訪日、東京都千代田区の同本社を訪ねると「日系社会全体をカバーした組織に対して寄付がしたい」との提案があり、選定は日下野氏に一任された。
帰国後、条件に適う組織として文協と会合、「文協ビル大講堂への空調設備設置」「同体育館の改修」「移民史料館の改装」「サンパウロ市イビラプエラ公園内日本館の改修」に充てることが、大塚氏に提案された。
12月26日に正式に決まり、3月末に日本で目録授与式後、1億円が銀行口座に振り込まれる。
文協では、近日中に特別委員会が設けられ、事業の優先順位の決定、予算と具体的な計画及び工程表が作られる。日下野氏も日本との仲介役として委員会に関わる。
木多会長は「透明性の確保のためにも、今後は定期的に進行状況を報告する会見を行っていく」と話している。