ニッケイ新聞 2013年2月6日
日本語版ブラジル日本移民百周年史編纂・刊行委員会(森幸一委員長)が編纂した『ブラジル日本移民百年史第一巻 農業編』(トッパンプレス、724頁)及び『第二巻 産業編』(同、498頁)が昨年12月に刊行された。08年に出版された『第三巻 生活・文化編1』に続くものだ。
『農業編』は農業に関する記述を軸に、農業学校から産業組合、移殖民事業や植民地造成、交通機関の発展などの社会的事象についても幅広く解説されている。産地別、作物別に日系人の役割と貢献が論じられている。
4部構成で体系性に重きを置きつつ、農業技師ら専門家が執筆に参加することで、従来の周年史に比べより詳細に渡った内容となった。森委員長は「日本人が農業分野でどれだけ貢献をしてきたかを、分かりやすくまとめた」と話す。
『産業編』は、NEC、トヨタといった日本からの代表的な進出企業に焦点を当て、各企業の関係者本人によって、それぞれの活動の実態や当地での試行錯誤が記された。栗原猛コーディネーターも「当事者らの証言を盛り込んだので、より生々しい内容。学術性を重視した他の巻とは若干異質であり、独特の読み応えがあるはず」と太鼓判を捺す。
3月下旬には『第四巻 生活・文化編2』『第五巻 社会編』が合本として刊行される予定。
1月30日に来社した森委員長、栗原コーディネーター、移民百周年記念協会の松尾治執行委員長は「(刊行が)遅れてしまったことを関係者にお詫びしたい。全5巻を通じて様々な角度から日本移民の歴史をとらえることが、このプロジェクトの目標だった」とほっとした表情で語った。
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