ニッケイ新聞 2013年2月7日
警察署での取調べで容疑者を拷問死させた罪で懲役刑を受けた元捜査官が逃亡して身分を偽り、24年間、サンパウロ市の公立校の教師をしていたことが死後3年にして明らかとなったと6日付フォーリャ紙が報じている。
1955年生まれのクレベール・デ・ソウザ・ロッシャ氏は、サンパウロ市北部ペルスの警察署の捜査官だった79年、強盗団の一味として逮捕した男性にパウ・デ・アララなど複数の道具で拷問を加えて死亡させたと訴えられた。本人は否定したが、82年に懲役5年8カ月の実刑判決を受けた。
だが、身柄を拘束される前にクレベール氏は逃亡。同氏は末弟に成りすまし、身分証明書、運転免許証、銀行カードなども弟名義で作った。
84年にはサンパウロ市の公立学校の教員に採用され、サンパウロ市北部の市立、州立の学校を計6校渡り歩いた。87年には市立校の校長にも就任した。州教育局によると、クレベール氏は大学で地理と教育学を専攻していたこともあり、誰も偽装には気付かなかったという。
クレベール氏から授業を受けた生徒たちによると、酔っ払って授業を行うことも頻繁だったが、生徒には良い評価を与えるタイプの教師だったという。だが、2004年からは欠勤や州教育局の命令を無視したりすることが増え、08年までに計4度、職務停止処分などを受けた。また、08年に隣人と喧嘩をして警察に連行された際、本名を名乗り、身分証明書の偽造などが判明した。
クレベール氏は09年5月に呼吸器系と腎臓、肝臓の機能不全で急死した。州教育局は12年にクレベール氏が署名した書類の名義を書き換えるなどの処置をとったが、生徒たちは再受講の必要なしとした。
現在、名前を使われた末弟は兄に対して行われた銀行貸付の返済義務回避のために奔走中だが、弟の弁護士は「麻薬の運び屋にならなかっただけ幸いだ」と語っている。